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魚の話 2008年11月14日 |
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おわんくらげの話…ネオン好き 先祖はたぶん 深夜族 この形、どう見ても、お椀というより、擂鉢。 スリバチクラゲでは語呂が悪いということか。 それとも、小鉢クラゲに対応させたのか。 蛍光発光する物質でノーベル化学賞受賞とのニュースがしばらく流れていた。 この物質のすごいところは、生物を分析するためにわざわざ作ったのではないかとしか思えぬような機能があるから。なにせ、生きた細胞内(in situ)で光るのだ。 → “「下村先生、クラゲ光りました」助言でピカリ…山形の水族館” 読売新聞 [2008.11.2] しかも、酵素不要の仕組み。カルシウムイオンで、まず青色が発光し、この励起エネルギーで緑色も発光するというのだからたいしたものだ。(1) と言うことで、この物質の大元、「オワンクラゲ」君について書き留めておくことにした・・・と、格好をつけて書こうかと思ったが、正直に言おう。 たまたま、ニュースが流れるほんの少し前にクラゲの本(2)を読んでいたのである。従って、今回は、その受け売り。 なんと言っても驚きは、クラゲ君がなんの目的で発光するのかわからない点。自分で好きな方向に進む能力は無いから、仲間に信号を送っても意味はないし、この程度の光で嫌がる敵がいるともおもえない。 という事は、クラゲ君の祖先が必要としていたということか。そうなると、深海からやってきたのかも。深海では、発光すると餌がよってきたり、敵を霍乱できるからだ。ただ、その格好からは、とてもそんな歴史を抱えているようには思えないが。だが、クラゲは死ぬと沈んでしまい、潮流で沖に流されていくらしいから、深海の生物の餌となっている可能性はあるそうだ。餌となって先祖帰りかも。 クラゲのなかには、アカチョウチンクラゲのように、深海に帰って生活するタイプもあるようだから、そこがクラゲ民族の故郷かも。 → 「高解像度映像が解き明かした深海クラゲの生態と役割 〜相互依存がもたらす連鎖現象〜」 (独)海洋研究開発機構 (2008年10月17日) 少しづつ生態が解明されるのだろうが、オワンクラゲの蛍光発光の意味は、永遠の謎で終わりそうな感じがする。化石もなく、情報も不足しているのだから、科学者が“途方も無い”仮説を出し合って議論したら面白かろうと思うが、まあ、そうもいくまい。 ところで、この蛍光物質のお蔭で生化学は格段の進歩を遂げたが、逆に、オワンクラゲ君はしばらくの間乱獲の憂き目を見たそうだ。遺伝子クローニングに成功してくれて、有難うというところ。 ところが、その頃から、オワンクラゲ君が見えなくなってしまったそうである。これも、なんとも不思議な話。 --- 参照 --- (1) 磯部寛,他: 「イクオリン生物発光に対するセレンテラジンのイオン化状態の影響」分子構造総合討論会2005講演要旨集 1P107 http://www.molsci.jp/discussion_past/2005/papers/1P107_m.pdf (2) ジェーフィッシュ: 「クラゲのふしぎ」 技術評論社 2006年 (オワンクラゲの写真) [Wikipedia] photo by KENPEI http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%BB%E5%83%8F:Aequorea_coerulescens1.jpg 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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