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魚の話 2008年11月21日 |
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さがらめの話…砂浜に 藻屑のなきぞ 寂しき そういえば、打ち上げられた大型海藻を見かけない。 牧之原市から御前崎市にかけての榛南地域では、8,000haの海藻大群落が消失してしまったそうである。(1) 生えていたのは、大型褐藻類のサガラメ(相良布)。相良家の地域特産ということらしい。 “芽を味噌汁に入れたり、生長したものの葉を竹の子と共に煮物にして”食べていたそうである。昆布系だが、煮たりしないもののようだ。(2) 西伊豆辺りでは、「とろろめ」が売られていたりしたが、おそらくこれはサガラメの新芽を干したものだろう。今は、消えてしまったのだろうか。 この海藻、どうも、以南も以北も育たないようで、南の方の似た海藻はアラメ(荒布)だそうだ。(3) それは昔から知られていたようで、古い文献にも、“「海帶(あらめ)に似て、細く狹く、皺の文有り。粗く硬く、味、劣れり。故に之を食ふ者、希なり。」と。按ずるに、遠州相良浦より多く出づる。故に相良布と稱す。炙り食ふべし。”(4)とされている。 ただ、余り信用しない方がよさそうだ。アラメ、サガラメ、カジメの呼び名は混乱しているからだ。 「棒カジメ(搗布)」と称して売られていても、中味はアラメ(荒布) らしい。(5)壱岐・対馬や平戸のカジメもおそらくアラメだろう。 海藻は昔から、よくわからないものだったと思われる。品質は、種類より、その土地の環境に大きく影響されるからだに違いないのである。 だからこそ、忽然と消えてしまったとも言えよう。理由は色々提示されてはいるが。 --- 参照 --- (1) 海中林について 静岡県産業部水産業局水産振興室 http://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-420/sub3.htm (2) 「サガラメ養殖」 静岡県水技研らいぶらりぃ[2007.11.6] http://fish-exp.pref.shizuoka.jp/04library/news/20071106.html (3) http://soruipc2.bio.mie-u.ac.jp/sourui_photo/phaeo/sagarame.html (4) 寺島良安: 「和漢三才圖會」卷第九十七 やぶちゃん http://homepage2.nifty.com/onibi/wakan97.html (5) 「“棒かじめ”を知ってるかい」お魚探検隊61回 市立しものせき水族館海響館 http://www.kaikyokan.com/fish/tanken/no61/no61.html (Eisenia arboreaの写真) [Wikipedia] http://en.wikipedia.org/wiki/Image:Alger,_Postelsia_palm%C3%A6formis,_Nordisk_familjebok.png 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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