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魚の話  2009年8月28日
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まつもの話…


 冬枯れの 気分でいただく 松藻椀

  松藻の香りに、冬の侘茶の敷松葉の趣ありとまではいかないが、なかなかのもの。
  細い海藻は希少食材化しているようで残念至極。

 以前、三陸特産の「焼まつも」を頂いたことがある。松葉を細くしたような海藻。「松藻」ということか。
 香りが素敵だった。

 スーパーでさっぱり見かけないので、忘れていたが、先日、とあるお店で見かけた。扱いから見て、高級品。

 余り採れないということか。
 一応、養殖はできるようだが、(1)結構難しいようで、売っているのが天然ものだとすれば、高価になるのは致しかたないかも。
 夏場は見つからないらしいから、潮流が激しい岩場で寒い時期に採取するのだろう。しかも、細い海藻だから、時間をかけても、たいした量にはなるまい。・・・想像だが。

 ところで、この海藻、褐藻類だから、海での写真を見ると、それこそ細モズクのように見える。(2)ところが、焼まつもをお吸い物(3)に入れると暗緑色だ。しかも、ぬめり感どころか海藻的な粘りは全く感じさせない。にもかかわらず、香気を感じる。  おそらく、ごそっと採って単に干しただけではこうならないのだろう。相当手がかかる処理をしているに違いない。ワカメなら、一本一本洗濯バサミでブル下げてバラ干ししてもそう苦ではないが、こちらを一本一本手でバラして干したら気の遠くなる作業だが。それを注意しながらじっくり炙るのだろうか。
 低温流通が難しかった時代、常温流通できる海藻の付加価値を上げるために徹底的に工夫していたということか。

 --- 参照 ---
(1) 小野寺光文: 「マツモ養殖に関すること(種苗生産に関すること)」 平成18年度岩手県水産試験研究成果等報告会
  http://www.pref.iwate.jp/~hp5507/report/seika-h18/18matumo-onodera.pdf
  “採苗技術の安定化をきっかけに、岩手県で海藻「マツモ」の養殖に漁業者が意欲的” [2008年4月21日] 水産経済新聞
(2) 「海藻海草標本図鑑 マツモ」 千葉大学海洋バイオシステム研究センター 銚子実験場
  http://www-es.s.chiba-u.ac.jp/kominato/choshi/algae/kaisou/tyairo/matumo/matumo.htm
(3) レシピ「焼まつものお吸い物」 川原田商店[宮古市]
  http://www.kawarata.com/recipe.htm
(松の写真) (C) フリー画像素材 EyesPic http://eyes-art.com/pic/
 


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