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魚の話  2009年10月23日
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ねこぎぎの話…


 置き所 無きぞ悲しき 猫世帯

  猫ギギ君もいよいよ住処がなくなってきたようだ。

←Photo by (C) 2000ピクセル以上のフリー写真素材集
 「義々」というナマズ系の魚がいる。獲ると「ギュッ,ギュッ」とかなり大きな音を出すから命名されたらしい。(1)水質と酸欠には注意を要するが、水槽で飼い易い魚のようだ。可愛いので人気がでてもよさそうな感じがする。

 小生は、食べたことはないどころか、釣っている話を耳にしたことがないが、昔は“非常に簡単で、・・・置きハリでいくらでも釣り上げることが出来た”(2)そうだ。煮つけはクセがなく美味だという。
 “それが現在では激減”とか。言うまでもないが、獲りすぎが原因ではなかろう。食用になるほどの復活など夢物語ではないか。

 そう考えざるを得ないのは、昔、どこかで、同類の、「ネコギギ」の話を聞いた覚えがあるから。もちろん、現在は絶滅危惧種。(3)

 伊勢湾・三河湾に注ぐ川の中流に棲む魚だが、昔は郡上八幡が生息地としてよく知られていた。今はどうなっているか知らないが、長良川水系だから環境は激変しているに違いなく、状況は想像がつく。下手に、外から、類似の魚を入れるようなことをしていなければよいが。

 この手の魚は、生態から考えれば、水族館的な種の保存は可能だが、自然のなかで生き延びさせるのは無理だと思う。
  ・水が汚れれば、餌が減って許容生息数は減る。
   (魚の前に、虫がいなくなってきた。)
  ・水辺の植物がなくなるとシェルターが無くなり、天敵に捕獲されてしまう。
   (ヨシ類が無くなった。)
  ・水量が制御され、流れが滞ると、生息最適地が限られる。
   (中流域にしか棲んでいない。)
  ・河床を手入れされると、繁殖地が失われていく。
   (産卵に向く石がゴロゴロしている地形はなくなっている。)

 もちろん、ネコギギ保全活動は行われている。(4)しかし、住民生活より、種の保全を優先できるとは思えまい。その姿勢を批判するのは、鉄面皮な都会人種だけかも。

 2009年7月に発表された平均水質ランキングは豊川は84位。前年は58位。(5)  BOD75%値が、1.0mg/lを越えており、普通の河川の水準。
 「私たちは、“清流日本一豊川”のすばらしさをもっと多くの方に知っていただきたく」(6)と語っていたのは、そう昔の話ではないのだが。

 --- 参照 ---
(1) Koji Tominaga: 「出会った魚たち−ギギ」 (2008.7.21)
  http://ecol.zool.kyoto-u.ac.jp/~tominaga/fishes/Pseudobagrus_nudiceps.html
(2) 「ギギ」ぼうずこんにゃくの市場魚貝類図鑑
   http://www.zukan-bouz.com/namazzu/gigi/gigi.html
(3) 「ネコギギ」絶滅危惧種情報 環境省
   http://www.biodic.go.jp/rdb_fts/2000/71-067.html
(4) 「ネコギギの保全」 設楽ダム工事事務所
   http://www.cbr.mlit.go.jp/shitara/01menu/12panf/pdf/nekogigi.pdf
(5) 「平成20年全国一級河川の水質現況(速報版)」 国交省河川局 [2009年7月]
   http://www.mlit.go.jp/river/toukei_chousa/kankyo/kankyou/suisitu/h210731/s02.pdf
(6) 「全国1位に選ばれました」 いいのんとよがわ
   http://www.pref.aichi.jp/tochimizu/mizu/toyogawa/1st.html
(“ふみゃ〜、餌を強請る猫”の写真) (C) 2000ピクセル以上のフリー写真素材集 http://sozai-free.com/index.html


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