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魚の話  2013年2月1日
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マガキガイの話…


貝好きな人は少なくない。
美味しい身がこたえられないというだけでなく、食用にならない貝でも貝殻を眺めるのが結構楽しいからである。そうなると、図鑑が欲しくなる。掲載されている殻の写真や絵を見て、貝殻とつき合わせたりして、なんということもないがこれが結構面白い。ただ残念ながら、いくら美しい貝殻だろうが、それは遺骸でしかなく、生身の活動状態の方はさっぱりわからない。食用活貝は別だが、そんなことを知るのはほぼ無理と諦めている訳である。
ところが、最近の水族館では、貝が動いている様子を見せてくれるらしい。砂に潜っていたり、岩にひっついて静かにしているだけだから、生きた貝の展示はしないものと考えていたから、ビックリ。

「ありふれた存在」、「あまりにも身近すぎ」、「その魅力を知らない人が多い」貝が水族館に展示されているというのである。・・・ということを、新刊本を読んで(眺めて)知った。

確かに、「眼力超強力」な貝だ。写真を見ていて、これは一度お会いしなければと思ったからである。
うーむ。この眼は物を言っているかのよう。と言うことで、特徴を書いておこう。

 (名称)
  ・「マガキ[籬]」との名称は、貝殻の垣根模様から来たもよう。
   (表面を清掃しなければわからない話であるが。)
  ・地方名は様々。動きを示すことからついた名前もある。
   (ビンビンガイ、チャンバラガイ、ディラジャー、等。)
 (分布)
  ・西太平洋の亜熱帯性の貝とされている。
   (房総以南。高知や沖縄ではポピュラーな貝かも知れぬ。)
  ・海底好みらしい。
   (駿河湾岸では、打ちあがった貝殻を見かけるとか。)
 (貝殻の形状)
  ・巻貝であり、一寸見には、イモ貝と区別できない。
   (ソデボラ科だが、素人にはどう違うのかわからない。)
  ・サイズ的にそれほど大きくならないようだ。
   (5〜6cm程度が標準とされている。)
 (食性)
  ・海底のコケ等を食べる草食性。
   (肉食ではないから、毒は無いということか。)
 (用途)
  ・他の貝殻と混ざって売っていそう。
   (大きくないので、お土産の貝殻色々セットに向く。)
  ・食用。上質な藻海域なら美味だろう。沖縄では高評価とか。
   (輸入もあるというから流通しているようだ。)
  ・水槽の底砂清掃係に任命されている。
   (沖縄美ら海水族館危険ザメ水槽で活躍中。)
 (眼)
  ・上に伸びている長い眼柄の先端についている。
   (眼柄は蟹より長く、蝸牛のように動くが硬そう。)
  ・眼球部分は、貝とは思えないほど大きい。
   (見ただけで、すぐに「眼」の存在に気付く。)
  ・黒白の同心円状で「眼」という感じ。
   (貝から見られている感じがする。)
  ・眼柄の中途から触角が分かれている。
   (触角を海底につける時は目を下げるのだろうか。)
 (口)
  ・眼柄は上に、水管は海底側に延びる。
   (眼と、象の長鼻のような口を眺めると、顔のようだ。)
 (移動)
  ・腹足は足機能が弱く、蓋を動かす機構化しているそうな。
   (蓋で海底を蹴って移動することになる。)
  ・他の生物に対しては穏やかだが、動きは活発そう。
   (海底はよいが、水槽ガラス登りは、不得手では。)
   (気が向かない輩が寄って来たら、蹴っ飛ばすことになる。)

尚、この貝だが、今見ている、ポケットに入る薄いハンドブックでは、採集し易い150種から漏れている。しかし、水槽掃除屋としての評価が高いから、多分、アクアショップではすでにお馴染みさんとなっていそう。そこら辺りに、ご挨拶に参上仕るとするか。

 --- 本 ---
中村元[監修/写真]/ 奥津匡倫[執筆]: 「水族館で珍に会う」 エンターブレイン 2013年1月22日


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