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■■■ 2015年4月24日 ■■■

翼浮遊極薄殻貝類…

  
 流さるる 浮遊貝多し 春の海
殻がありながら、浮遊性生活を送るというのは貝としては異端である。しかしながら、幼生時代は必ずそのようにして過ごす訳で、いわば成貝拒否のモラトリアム生物と言えそう。
貝の場合は、受精卵の卵割時代の先が、多数の繊毛を持つトロコフォア幼生時代。そのうち変態してベリンジャー幼生時代に突入し、ここで殻形成を始める。そして、稚貝らしくなると浮遊を終えて、底地棲に落ち着く。この鉄則破りが翼浮遊極薄殻貝類なのである。

当然ながら、極めて軽量な殻しか作れない。極薄プラスチック製品と間違うような代物。形は、亀の甲羅状が多いようだ。
見たことはないが、左右に蝶の羽状の足を出して泳ぐそうだ。と言っても、見かけ上ではないか。海流に乗っているだけで、動かす主目的は餌の取り込みだと思うが、どうなのだろう。

当然ながら、海が時化れば、海岸に打ち上げられてしまう筈。従って、ビーチコーミングでは、この貝殻が見つからない筈が無いと思うが、残念ながらそれが難しいとくる。おそらく、素人は見逃してしまうのだろう。どちらかと言えば、シラスのなかに混じるタコの赤ちゃん探しのような手段で探す方が優れている。と言っても、そんな機会は滅多にないだろうが。

その類の代表は「亀貝/Sea butterfly/三歯駝蝶螺,海蝶 or 振翅蝸牛」とされている。殻には巻き筋の跡が全く無い。しかし、翼のような側足があり、いかにも腹足進化形態に映る。従って、巻貝系と見なしてかまわないということのようだ。

この翼状の足だが、有名なのは、実は亀貝ではない。完全に殻を失ったとされる「"裸"亀貝」の方。通称、「クリオネ/Clione or Sea angel/海天使」。
ただ、翼状の足があるという点で似ているにすぎず、分類学的には遠縁の一つに過ぎないらしい。

亀でなく、蝶にしておけば、クリオネ人気に綾かって人気が出たのに、残念だった。貝君からしてみれば、注目される方が迷惑かも知れぬが。

カメガイ類の写真を色々と眺めると、貝の形は、結構、様々。亀の甲羅形状とは呼び難い貝もある。そんなこともあるのか、情緒的な名前が付いた貝もある。
  "浮筒"貝,"浮菱","笹の露"
尚、亀型に近いといっても、形には微妙な変化があるし、色にもバラエティがあるようだ。
  平,丸,胡蝶
  白,栗色
  マサコ
最後の名称はどういう意味なのか想像がつかない。

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