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魚の話  2018年2月7日

いんこはぜ の話

 気が付けば 又や居眠り 家インコ
  インコは喰う、寝る、遊ぶだけ。

鯊の写真を色々見てきたが、それこそピンキリ。
撮影技術もさることながら、個別モデルの容姿や性格に大いに依存するところ大ではないか。

特に、鰭をピンと拡げて見せてくれるか否かで、美しさには天と地のひらきがある。それと、背景の色彩の影響も極めて大きい。保護色的な変化もさることながら、薄い鰭の色彩がそれによって変わってしまうからである。特に、微妙な色合いが全く写り込まなくなったりして、全くの別種ではないかと思うほど。光線の加減で輝く箇所が生まれることも多く、当然ながら、それが見えるか否かで魅力度は一変する。

こんな感覚を抱いていると、付けられた名前から、ついつい小振りのオウム的なカラフルな熱帯魚を想像してしまい、写真を見た瞬間、「ナンナンダ?」とがっかりする種がある。
  鸚哥[インコ]

撮られた写真は、どれを見ても派手な色とはほど遠く、モノトーンではないものの、地味そのもの。はっきり言ってパッとしない。

もともと鯊は、熱帯発祥であり、色とりどりの方が主流だった可能性が高い。
その微妙な色彩のグラデーションを見せつけられたりすれば、感嘆の一言。それがどんな色彩かと言われても、とても文章で表現できるものではない。もっとも、日本語だと、漢字一文字でその感動が伝わったりするもの。

そんなことを考えていたのだが、それっぱなしにしていたのだが、水族館で出遭ってなんとなく、インコという表現がわかってきた。コレ、なかなか秀逸モノでは、と。

先ず、その大きさだが、インコ並になることに気付かされたのである。つまり、この鯊は家インコに匹敵すると指摘していることになろう。

考えてみれば、命名者は学者である。その眼は、対象の外観色判別から始めることなどありえまい。じっくりとお姿を拝見する筈だ。(昔の図鑑など、もっぱらモノクロ線画だった訳で。それで十分に用は足りたのである。素人にはとっつきずらいが、実は、写真より優れていると言えなくもない。フィールドで、動いている生物の種をとっさに判断する力は、概念的把握力に依存しており、それを鍛えるには写真では難しい。漫画や線画による大まかな特徴を頭に入れるのが一番なのだ。)
と言うことで、先生は、おそらく鯊君を眺めながら線画を描いていたのである。
熱中しているところに、仲良しの家インコ君が側に寄ってきて、猫のように仕事の邪魔を始めたからたまらない。中断して遊んであげるしかない訳だが、インコ君、そのうち掌の上てスヤスヤ。可愛いものヨ、とじっと眺めていたら、突然閃いたのである。・・・
なんだよくよく見ると、この姿、描いているハゼ君とそっくりじゃないか。スッとぼけた寝顔などウリ。
鯊君も、汽水域で遊び疲れたら、マングローブの根元でうだうだ過ごしているんだろうし、と。

この鯊、よくよく観察すると、鰭は透明感に溢れており、背、胸、尾のいずれもが大きく、その造形美はなかなかのもの。全体の体色は薄黄色ががったボヤーとした白だが、赤褐色の細かな斑模様があり、情景によっては、赤白の斑模様にも見えたりする。鰭にもうっすらと黄色の点々がアクセント的についている。決して地味な意匠ではない。

【鬚鯊、等が所属する《Gobiinae》グループ】
 <熱帯棲分志向>"本流"  → 「はぜ 全体像」
 ○Exyrias・・・インコハゼ類
  鸚哥鯊/縱帶鸚鰕虎/Puntang goby(puntang)
  糸曳鸚哥鯊/明仁鸚鰕虎/Akihito goby(akihito)
  お化け鸚哥鯊/K點鸚鰕虎/Mud reef-goby(belissimus)
  -/費氏鸚鰕虎/Ferraris' Goby(ferrarisi)
  Filamented sand goby(-)

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