表紙 目次 | 魚の話 2018年2月8日 よみのはぜ の話👼 漆黒で 黄泉の灯りも いらぬゾと餌さえあれば深夜生活だろうが、光なき洞窟や深海でもかまわわぬようだ。 インドパシフィックの各地のリーフでそれなりの数が見つかっているようだが、写真では体形的に縦に扁平しすぎており、異端であることがすぐにわかる鯊がいる。明らかに底の生活ではなく、浮遊向き。 これはとりあげておかねばなるまい。 日本では、沖縄今帰仁村運天の夜間大潮の際、桟橋横のタイドプールでみつかったという。 黄泉ノ鯊 特徴は、目が小さいこと。 観察例もあることから夜行性と推定されている。 体色が赤味がかったオレンジ色で鱗を欠くから深海棲と思ったが、類縁性は無いらしい小判鯊のようにヌード的な鯊もいるから、そう考えるべきではないらしい。 夜間の活動しかしないのなら、プランクトン摂取は難しかろうし、砂底を漁るには不向きな体形だから、植物食なのであろうか。 ともあれ、昼間はどうしているのかということになるが、棘穴蝦の巣穴で御休みでもしているのではないかとの仮説も。もちろん、藻場では珍しくもない蝦で、鯊との同居を旨とする鉄砲蝦同様に視力がからきし弱く、周囲に生えている海藻を巣に引き込んでじっくり食べる習性が特徴。黄泉ノ鯊は、その御相伴にあずかっていると見るのであろう。 そうそう、深海の方だが、ダイビングで到達がむずかしくなる60mから先の状況はそうそうわかるものではないが、棲息するハゼがいるのは間違いない。テレビ番組では、南西諸島海溝の水深269mでポピューラーな小魚であるベニハゼの仲間が暮らしていた位で。 いかにも、黄泉的な様相を暗示しているのはこちら。 黄千尋鯊 【鬚鯊、等が所属する《Gobiinae》グループ】 <熱帯棲分志向>"本流" → 「はぜ 全体像」 ○Austrolethops・・・ヨミノハゼ類…夜行性 黄泉ノ鯊/Small-eyed goby(wardi) ○Obliquogobius・・・チヒロハゼ類@深海 糸千尋鯊(cirrifer) 大目千尋鯊(megalops) 紅海千尋鯊(turkayi) 黄千尋鯊(yamadai) (cometes) (fluvostriatus) (参考) 吉郷英範,他:[沖縄島で採取された日本初記録のハゼ科魚類ヨミノハゼ(新称)」I.O.P.DIBING NEWS, 15(11) 2004年 Koichi Shibukawa, et.al.:"Three New Species of the Deep-dwelling Goby Genus Obliquogobius(Perciformes: Gobiidae: Gobiinae) from Japan, with Comments on the Limits of the Genus" Bull. Natl. Mus. Nat. Sci., Ser. A, Suppl. (1), pp.137-152, 2007 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2018 RandDManagement.com |