表紙 目次 | 水母の話 2018年3月13日 エイレネくらげ の話⭙ ピースでなく 薩摩でもない 海マーククラゲをペットにしたいということで思案したとすれば、クラゲの代表ともいえる水水母になるのでは。実際、小さくて可愛いから是非にも欲しいという人も少なくないそうだ。 水族館は光線を上手にあてているから、沢山の小さな水母がフヨフヨしている様子は見飽きないので、家でも、となるのであろう。そうなると、選ばれる種があるそうだ。 エイレネ水母 透明感あふれる傘で径2cm。水管の細い十字模様が見える。傘縁に短い触手が10本x4。 人気の源泉はその姿と言われているが、ポリプから育てることが可能ということも大きい。ポリプが"クラゲ芽"を出芽して幼クラゲを産むのである。 ただ、名前がお洒落ということもありそうな気がする。 "Eirēnē"とは、ギリシア神話に登場する平和を司る女神だからだ。 ただ、この類の総称はどういう訳かエイレネを用いていない。 小さな生殖器官が見えるが、おそらく、その部分の形から来た名前なのであろう。 松葉水母 マ、若干大き目というだけで、どう見てもソックリさんである。コリャ、学者しかわからない別種かと思ったが、写真をよくよく見つめれば、放射線は6本。 なんとも珍しい数字。 八方相称のペア形成で四方化は普通のことだが、六方相称とはどういうこと。花虫でも、8と6は全くの別系統扱いだが。当然ながら傘縁の触手は10本x6。 傘径が3cmで、傘水母の仲間から見れば微小だが、ヒドロ虫にしては巨大。大きくするためなら8でよいはずだが、4にしてしまった都合上、4+2にするしかなかったのだろうか。 そんなことが気になろと、突然変異を起こしやすい体質かと思ったりして。 と言うのは、鳥羽水族館の水槽内で発見された近縁種は"自然界では"さっぱり見つかっていないそうだから。 瘤エイレネ水母 ともあれ、この類縁は透明感という点で群を抜いた評価を得ているようだ。曰く「透き通ったガラスのような美しいクラゲ」。 ギヤマン水母 高さ3cm、長い触手32本。この触手がスラッと長いのが特徴。 この仲間には、有名になった種がいる。 貝宿りヒドラ水母 2mmほどのポリプが、二枚貝の外套腔に寄生する習性。これ自体は驚くようなことではない。珍しいということでは、群体を作らない点か。そうそう、分類ではこれらはポリプが有鞘の「軟水母」とされているのに、この種だけは無鞘だというから、相当な異端。 "クラゲ体"を生み出すのだが、♂♀生殖のためだけに生き、役割を終わると消滅してしまうのだと。 もちろん、珊瑚が行うのと同じような一斉行動。 尚、クラゲとして生きていく種もあり、木葉水母と似た姿だと。[日本大百科全書(ニッポニカ)小学館] 尚、丸十型の代表は、御椀形の傘の小さなエイレネと言うよりは、傘径20cmの扁平タイプ。 皿水母 寒い海に棲息。 丸十とは言えないが、扁平傘で似た印象を与える意匠の種を加えておこう。と言っても直径は約1cm。小さいので、触手も4本x4本。情報が少ないので、よくわからない。 単衣水母 【刺胞動物/Cnidaria】 ┌花虫/Anthozoa…ポリプ型(珊瑚, 磯巾着) ┤ └Jellyfish/Medusozoa ┼┼ヒドロ虫/Hydrozoa ┼┼【Leptolinae】 ┼┼┼◆軟水母[有鞘]Leptomedusae (=Thecaphorae or Thecatae) ┼┼┼《Conica》 ┼┼┼-Eirenidae ┼┼┼┼○Eirene ・・・マツバクラゲ類 ┼┼┼┼┼松葉水母(hexanemalis) ┼┼┼┼┼エイレネ水母(menoni) ┼┼┼┼┼瘤エイレネ水母/Eirene jellyfish(lacteoides) ┼┼┼┼┼┼┼@鳥羽水族館水槽内 ┼┼┼┼○Eugymnanthea・・・カイヤドリヒドラクラゲ類 ┼┼┼┼┼貝宿りヒドラ水母(japonica) ┼┼┼┼┼貝宿りヒドラ(inquilina) ┼┼┼┼○Eutima・・・コノハクラゲ類 ┼┼┼┼┼木葉水母(japonica) ┼┼┼┼○Eutonina・・・シロクラゲ類 ┼┼┼┼┼白水母(indicans) ┼┼┼┼○Helgicirrha ┼┼┼┼○Tima・・・ギヤマンクラゲ類 ┼┼┼┼┼ギヤマン水母(formosa) ┼┼┼-Laodiceidae ┼┼┼┼○Laodicea・・・ヤワラクラゲ類 ┼┼┼┼┼柔軟[やわら]水母(undulata) ┼┼┼┼○Melicertissa・・・ハッポウヤワラクラゲ類 ┼┼┼┼┼八方柔軟[やわら]水母(orientalis) ┼┼┼┼○Ptychogena・・・マツカサクラゲ類 ┼┼┼┼┼松毬水母(lactea) ┼┼┼┼○Staurostoma・・・サラクラゲ類 ┼┼┼┼┼皿水母/Cross jellyfish(mertensii) ┼┼┼-Phialellidae ┼┼┼┼○Phialella・・・ヒトエクラゲ類 ┼┼┼┼┼単衣水母(fragilis) 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2018 RandDManagement.com |