表紙 目次 | 水母の話 2018年3月18日 かっぱくらげ の話皿外れ慌てる河童の 海流れ 皿縁の△は髪の毛の塊とか。 なかなかに情緒ある名前の種である。 河童水母 ソルミスス水母ではなんのことやらだし、Dinner plateと言うのも、触手があるので気分がでまい。 河童の頭のお皿と言えば、なんかそんな気がしてくるから不思議。 分類では、ヒドロ虫【剛水母】。 この集団の特徴は、胃腔が嚢状の小分けになっている点。餌を得てから、消化に長時間かけることが容易になったということだろうか。 当然ながら、生殖器はそのなかにできるが、特段色彩をつけることまではしないようだ。 尚、触手だが、傘縁ではなく傘上から発生する。一本がスルリと抜け落ちる構造になっているのではなかろうか。もちろん再生能力があるからできること。 ▼ ▲ 海荒れて 鼓の紐も 抜け落ちる ラクビーボール真っ二つにしたような、潰した半球形状。鐘型と呼びそうな気もするが、言われてみると、それは鼓の形だと気付かされることになる。 それにしても、極めて小さいから、ピッタリ名称はそうそうなかろう。 鼓水母 傘径は数cm程度。胃嚢が8つ。 触手は"基本"4本だが、5本の場合も少なくないという。外洋で苦労して、落ちて再生を繰り返して本数が増えてしまったのではないか。 ともあれ、特徴的なのは、触手がクラゲの足の如くに下に垂れ下がらないこと。波で体ごと持っていかれて叩きつけられないように用心しているのだろうか。 🌞 日輪は 毎日潮で 運ばれし 透明な超小皿形状の種あり。 日輪水母 触手が放射状に伸びている。 以下でリンクした雑誌の表紙を飾る、傘径1cmの個体の写真では、18本。4x4ではなくいかにも半端な数。何本か抜け落ちて、再生した結果だと思われる。喰わせて逃げる算段では。 → [PDF]"串本海中公園マリンパビリオン"46(4) 2017.7 ❂ 八方に 手くばりするも 頭欠く 傘から8本の触手が伸びる深海性の小振りな種。 八方水母 ロケット先端につけた古典的な人工衛星のような感じがする。 JAMSTECの収集記録では、水深740〜877m。発光は体全体。 この種に似ているとされる種も視ておきたい。 八方水母擬 四角錐に4本のカーブしたアンテナが付いている。[→(C)WoRMS]海で回収した有人人工衛星的デザイン的。傘縁から垂れ下がる構造では、外洋の荒波を乗り切れそうにないから、至極合理的なボディプランだ。 ⚻ 右にプラ 左にプラの 潮まかせ 外洋を泳ぐのか漂うのか、1.5cmと小さな種。 弥次郎兵衛水母 頂点から2本の触手。 胃嚢が8つ 尚、JAMSTECの調査からすると、深海生物でもある。一体、どういう生活を送っているのか想像がつきにくい。 Darth vader 暗黒で 選ばれし者 恐れなし 写真が素晴らしい出来だったので、一躍有名になった極北1,000mの深海に棲む種である。 Darth vader jellyfish 傘径2cm。4本の触手だけに見えるが、傘縁に見逃してしまいそうな極く短い触手がある。そして12の胃嚢。 → Kevin A. Raskoff:"New Life Forms in Alien Environments" NOAA Ocean Explorer 2005 流石に、学者は映画の話は一言もしていない。ただ、剛水母の仲間であるとだけ。 と言うことで、ヒドロ虫【剛水母】をざっと眺めた訳である。 海洋に進出したクラゲの一群ということ。 当然ながら、底は余りに遠くて到達できそうにないし、付着できそうなモノも見つからないすれば、"ポリプ体"など唾棄すべき構造。そうなれば、考えられるライフサイクルは4種類。それだけのこと。 【1】傘内で育児→未成熟クラゲ放出 A:親による育児 B:他種クラゲに寄生 【2】微小クラゲ産出 【3】プルヌラ産出→("ポリプ体"時代無し)"クラゲ体"へ変態 【4】アクチヌラ(遊泳型"ポリプ体")産出→"クラゲ体"へ変態 【刺胞動物/Cnidaria】 ┌花虫/Anthozoa…ポリプ型(珊瑚, 磯巾着) ┤ └Jellyfish/Medusozoa ┼┼ヒドロ虫/Hydrozoa ┼┼┼【Trachylinae】 ┼┼┼◆剛水母Narcomedusae ┼┼┼-Aeginidae ┼┼┼┼○Aegina・・・ツヅミクラゲ類 ┼┼┼┼┼鼓水母(pentanema) ┼┼┼┼┼カリブ鼓水母(rhodina) ┼┼┼┼┼鼓水母擬(citrea) ┼┼┼┼┼虫足鼓水母擬(rosea) ┼┼┼┼○Aeginura・・・ハッポウクラゲ類 ┼┼┼┼┼八方水母/Mesopelagic hydromedusa jellyfish(grimaldii) ┼┼┼┼○Aeginopsis・・・ハッポウクラゲモドキ属類 ┼┼┼┼┼八方水母擬(laurentii) ┼┼┼┼○Bathykorus・・・ヒジガタツヅミクラゲ類 ┼┼┼┼┼北極菱形鼓水母/"Darth vader jellyfish" ┼┼┼┼┼┼┼(bouilloni)@深海棲(1,000m) ┼┼┼┼○Solmundella・・・ヤジロベエクラゲ類 ┼┼┼┼┼弥次郎兵衛水母(bitentaculata)@深海 ┼┼┼-Cuninidae ┼┼┼┼○Cunina・・・ヤドリクラゲ類 ┼┼┼┼┼千手宿水母(duplicata) ┼┼┼┼┼(globosa) ┼┼┼┼┼(peregrina) ┼┼┼┼○Sigiweddellia・・・シギウェッデルクラゲ類 ┼┼┼┼○Solmissus・・・カッパクラゲ類 ┼┼┼┼┼鵜飼河童水母(albescens) ┼┼┼┼┼河童水母(incisa) ┼┼┼┼┼セコ水母/Dinner plate jellyfish(marshalli) ┼┼┼-Solmarisidae ┼┼┼┼○Pegantha・・・ペガンサ類 ┼┼┼┼┼(rubiginosa) ┼┼┼┼○Solmaris・・・ニチリンクラゲ類 ┼┼┼┼┼日輪水母(rhodoloma) ┼┼┼-Tetraplatiidae…羽水母 ┼┼┼┼○Tetraplatia・・・プラヌラクラゲ類 ┼┼┼┼┼プラヌラ水母(volitans) 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2018 RandDManagement.com |