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櫛水母の話  2018年4月6日

ことくらげ の話

 抜群の
 姿に見惚れ
 呑まれけり

1941年、相模湾深度70mで採取された種の話。誤解を与える名称だが、冴えた命名。
  琴水母
刺胞動物系にはさっぱり似ていないし、櫛水母の仲間とはとうてい思えない不可思議な生物。遊泳せず、時に這って動く生物であることが判明。
岩に固着しているのだが、平面的でもなく、芋虫的でもなく、ずんぐりとした体を突出させている。
どう見ても、"お琴"ではなく、"ハープ"と言うか"竪琴"。
上部は二股になり、それぞれの先端から細い触手が出て靡く。まるで妙なる音楽が流れているが如きに。
もしもこの名前なかりせば、深海種と紹介された瞬間、異様感を覚えてしまうかも。
百聞は一見にしかず。・・・
[PHOTO] "激レア生物 コトクラゲを展示しました"
   (C)アクアマリンふくしま 「生きもの情報」2016.7.8
 ひっつき虫 遊びは無縁 狩ばかり

櫛板が無くなってしまい遊泳も放棄し、主に海鶏冠に引っ付いて棲息する種。
  水母虫
風船水母が、下面の口を大きく広げて張り付き偏平化した形状。不定形で何処が前方に当たるのかは定かではない。とはいえ、長方形に近くなるようだが。
およそ櫛水母らしからぬ様相を呈している訳だが、上面中央から一対の片羽筋形の触手が出ており、しかもそれを鞘に格納可能という点で同類であることがわかる。
水管は網目のように広がる。

要するに、稚水母虫は微小な櫛水母の恰好をしてフラフラしているが、そのうち付着し、変態開始と相成る訳だ。
岩に付着する種は、珊瑚的擬態なのか色付。
  紅水母虫
おそらく、ガンガゼだと思われるが、そんな場所に入り込む種も。
  海胆宿水母虫

最後に、構造的に分かりやすそうな種を見ておこう。
  櫛扁虫
風船を潰して2つの楕円形が横並びにつながった形の平面的体躯。中央が口で胃腔に繋がる。
中央部に小さな触覚的触手。その基部は2つの楕円の継ぎ目を土台についており、この土台が鞘になっていて、その両端から長い片羽筋形の餌取触覚がのびる。
体躯の縁辺にはスポットがあり、眼点かも。
8枚の板は体躯内部にあり、口の周囲に放射状に並ぶ。

と言うことで、櫛水母を眺めてきた。
種の一覧は別途。[→]

【有櫛動物/Ctenophora
有触手Tentaculata
┼┼櫛扁虫Platyctenida
┼┼-Coeloplanidae
┼┼┼○Coeloplana・・・クラゲムシ類
┼┼┼┼水母虫(bocki)
┼┼┼┼海胆宿水母虫(echinicola)
┼┼┼┼駒井水母虫(komaii)
┼┼┼┼箕作[ミツクリ]水母虫(mitsukurii)
┼┼┼┼紅水母虫(willey)
┼┼┼┼底切子水母虫(meteoris)
┼┼-Ctenoplanidae
┼┼┼○Ctenoplana・・・クシヒラムシ類
┼┼┼┼櫛扁虫(maculomarginata)
┼┼┼┼大櫛扁虫(maculosa)
┼┼-Lyroctenidae
┼┼┼○Lyrocteris・・・コトクラゲ類
┼┼┼┼琴水母(imperatoris)

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