表紙 目次 | 尾索動物の話 2018年4月8日 とがりサルパ の話"軟体動物の象水母[→]はゼラチン質のサルパ喰いに特化したのだろう。"と紹介したが、その辺りのことは本文には何も書いていないので、触れておこう。🚃🚃🚃 連結し 何番なのか 分からない 若狭湾の高浜原子力発電所の取水口に"クラゲ"が貼りついて被害甚大という話は有名だが、透明な生物ではあるが、刺胞動物の水母とは形からして違う生物のことが多い。たいていはファスナーを大写しにしたようなトンデモない姿で押し寄せてくる。 その名前にしても"ほとんどの方はなじみが薄い"と言うより、初耳なのが普通。 [益田玲爾:"サルパ− 自然界で役割果たす"【真鶴・若狭水中散歩】真鶴市民新聞社 2015年9月25日] 尖サルパ 海外でも、時に、大量に"jellyfish eggs"と呼ばれる透明な物体が岸に打ち上げられる。種は違っても同類である。外洋の表層棲で珍しくもない生物だが、ヒトにとっては目撃できるチャンスは僅かなので、奇妙な生物発見と大騒ぎになることもしばしば。 [Rachel Kaufman:"Mysterious Balls of Goo Are Rolling Onto American Beaches"National Geographic WEIRD & WILD 2015] クラゲの大量発生はせいぜいのところ億匹だと思うが、こちらは兆の単位かも。 分類上では脊索動物に属すからハイライトが当たってもささそうに思うのだが。・・・脊椎動物の前駆型と言うことで。ヒトのボディプランの何某かは共通である可能性があるからにすぎぬが。 ただ、クラゲ様で透明な体躯にもかかわらず、どこにも脊索らしきものは見えない。初期の胚でも発生していない模様。どうも、幼期の一時期脊索が見られるということのようだ。 マ、この辺りがポイントでもある。 普通、幼生と言えば頭はわかるものの楕円的で繊毛を持つタイプ。ところが、脊索系では、オタマジャクシ型になる。つまり、尾を振って泳ぐのである。目標とする方向に尾の筋肉を一括制御して動かす能力を身に着けている訳で、これが脊椎動物への進化のメルクマールということになろう。 ついでながら、口の部分というか囲咽腔には鰓裂があるそうだ。ここらが餌採取の機能を発揮する器官になっているようだ。消化器官は塊になっているようで、肛門へと繋がっている。 脊椎動物に至る系譜の大元で分岐した種と言われればそんな感じがしてくる。 もっとも、生態は刺胞動物同様に錯綜しており訳わからぬ世代交代が行われている。 単体個体 ↓クローン増殖(出芽) "連鎖群体化" ↓♂♀生殖 "放出" ↓ 単体個体 これでおわかりの通り、単体でも生きていけるが、大量発生する時は連鎖状に繋がっているのである。群体と言っても、管水母のように、機能分担している訳ではなく、同一形状の単体がいくつも繋がるだけ。おそらくその数に際限などない。餌が増えればとてつもない数に一気に膨れ上がる。 そんなことが可能なのは、漂泳生活に徹している種だから。 体形と意匠は種によって、それなりに変わるが、基本筒型。 前方の口から入水し後方に出水し、餌である植物 性プランクトン(1mmに達しない珪藻が主体か。)を粘液で作ったフィルターで濾し取るので、推進=餌捕獲活動になる。水を噴射することで流れを作る訳でかなり高効率と見られている。体躯は筒型であるから、環状筋が異常に発達している訳だ。 沿岸部の高密度プランクトン域を避け、外洋の低密度域でしか棲めない生物であろう。 熱帯〜亜熱帯に多いので暖海棲とされているが、深海、北海、オホーツクでも見られる。植物プランクトンの大発生する海域にはその環境に適合した種が必ず存在しているということか。 外洋の回遊魚にとっては願ってもない餌であろう。 尚、荒海でも、軟なゼリー体を保持できるのは外皮の素材が植物構造を支えるのと同じセルロースであることによる。 餌を考えると、環境に応じた大きさになる筈で、体長2〜5cmのレンジだと思ったらそうでもなさそう。 大サルパ 個体が30cmに達するという。 種は様々あるが、生態がよくわかっていないので、どのような棲み分けが発生しているのか推定のしようがない。しかし、至るところに棲んでいるようだ。名称から見て、連鎖群体が車輪状になったり、螺旋を造ったりする種もありそうだが、それは互いの連結面のデザインから発生するだけのことではないか。ただ、餌の状況によっては、その違いで収集能力は大きく変わる可能性はありそう。 【尾索動物/Urochordata or Tunicate】 【ご注意】進化スピードが早い種では分岐分析結果の信頼性は低いので、仮設定と見た方がよいと思われる。 ┬───◆海鞘[ホヤ]Aplousobranchia@Ascidians │ └┬──◆御玉海鞘[尾虫]Larvacea or Appendicularia ┼│ ┼└┬─◆海鞘[ホヤ]Stolidobranchia@Ascidiacea ┼┼│ ┼┼│┌◆海鞘[ホヤ]Phlebobranchia@Ascidiacea ┼┼└┤ ┼┼┼└タリアThaliacea ┼┼┼┼◆海樽Doliolida ┼┼┼┼◆光海鞘Pyrosomida ┼┼┼┼◆サルパSalpida ┼┼┼┼┼-Salpidae ┼┌────○Pegea・・・桃色サルパ類 ┼│┼┼┼┼┼角出桃色サルパ(bicaudata) ┌┤ ││┌───○Soestia・・・太筋サルパ類 │└┤ │┼└───○Thetys・・・大サルパ類 │┼┼┼┼┼┼大サルパ/Large salp(vagina) ┤ │┌────○Ihlea・・・斑紋サルパ類 └┤ ┼│┼┌─── ┼│┼│┼┼○Cyclosalpa・・・輪サルパ類 ┼│┼│┼┼┼シャミッソオサルパ(affinis) ┼│┼│┼┼○Helicosalpa・・・捻サルパ類 ┼│┼│[Cyclosalpinae] ┼│┼│⇕ ┼│┼│[Salpinae] ┼│┌┤ ┼│││┼┌○Brooksia・・・嘴サルパ類 ┼│││┌┤ ┼││││└○Ritteriella・・・縞サルパ類 ┼││└┤ ┼││┼└─○Salpa・・・尖サルパ類 ┼││┼┼┼┼尖サルパ(fusiformis) ┼└┤ ┼┼│┌──○Iasis or Weelia・・・筒サルパ類 ┼┼└┤ ┼┼┼└──○Thalia・・・姫サルパ類 ┼┼┼───○Metcalfina・・・六角サルパ類 ┼┼┼───○Traustedtia・・・千手サルパ類 (分類参照) ママでなく、素人が改編 JODC(日本海洋データセンター)GODAC/JAMSTEC 「魚」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2018 RandDManagement.com |