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2003.3.19
 
 


SARSの意味…

 2003年3月15日、WHOが、新型肺炎が広がっているから、旅行に当っては十分注意を払うよう、突然の緊急勧告を行った。Severe Acute Respiratory Syndrome(SARS)と名付けられた症例が、すでに150件にのぼっているそうだ。今回の勧告は、米国からの旅行客がドイツで隔離されたため、急遽行われたようだ。 (http://www.who.int/mediacentre/releases/2003/pr23/en/)
 さらに、17日には、中国政府の報告では、SARS症例が300を越した、との発表があった。病因はいまもって特定されていないが、多発地域のハノイ、香港、中国で分析を急ぐとのことだ。 (http://www.who.int/mediacentre/notes/2003/np4/en/)

 SARSは、香港の病院での肺炎集団発生が発端だ。感染源となった患者は、ハノイから移送されたビジネスマンだったため、大騒ぎになった。しかも、中国広東省でも肺炎流行との情報が流れた。このため、香港では大騒ぎになった。
 3月18日(火曜)付けの香港・星島日報ではトップ記事がSARSだ。これによれば、日曜に49例だったのが、月曜には95例に増加したという。従来型肺炎も含まれている可能性はあるが、ほとんどがSARSのようだ。
 患者には、医療関係者と家族が多数含まれているから、感染力は弱く、流行には至らないとの意見が流されているが、香港への旅行者減少を恐れての恣意的な発言の可能性が高い。
 実際、患者の周囲以外から新患が登場している。罹患の裾野は広がりつつあるようだ。
 そのため、香港では、一般の人達までが感染を恐れ始めた。(http://www.thestandard.com.hk/thestandard/topstory.cfm)

 経済のグローバル化により、ローカルで発生した疾病でも、瞬く間に世界に広がるようになった。感染症による「大惨事」の危険性はますます高まりつつあるといえる。しかし、疾病対策への関心が高まっている、とは言い難い。
 HIVウイルスやレジオネラ菌の感染問題も、下火である。一部の問題と見なされているのだろう。エボラウイルスやライム病、ラッサ熱等の危険な疾病の名前は誰でも知っているが、それだけのことだ。
 こうした病気が蔓延する可能性は低い、と勝手に信じ込んでいるのである。

 しかし、危険は高まっている。思っていた以上に、感染症が危険なものであることがわかってきたからだ。
 例えば、極く普通のバクテリアでも、恐ろしい疾病を引き起こす可能性がある。単純な疾病でも、バクテリアが突然変化すれば、今までの治療法が全く効かなくなるからだ。なんの変哲もない疾病が致命的な病気に変わりかねない。
 しかし、このような変化が、何時おこるかは、現代の科学では推定できない。
 危険の可能性指摘だけだから、誰も本気になって考えないのだ。

 おそらく、SARSは、こうした流れの始まりだろう。
 ポスト抗生物質時代の幕開けかもしれない。・・・そうなれば、新しいライフサイエンスによる解決法模索と、ヒトの免疫力増強方策の開発が、ヘルスケア研究の焦点になろう。


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