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2004.2.3
 
 


糖尿病抑制技術(1:BMIの疑問)…

 健康増進法に基づいて、「健康日本21」の活動が粛々と進んでいる。
 なかでも、糖尿病予防に注力しているようだ。食生活を変え、運動を増やすことで、肥満者を減らし、健康増進を図ろうという動きが、全国レベルで始まっている。
  (http://www.kenkounippon21.gr.jp/kenkounippon21/shuppanbutsu/pdf/intro/tounyou.pdf)

 2003年に発表された調査結果によれば、糖尿病罹患と見なせる人は、人口の9.0%、糖尿病の可能性が高い人が10.6%だという。60才代で見ると、男性が31.3%、女性が27.5%が糖尿病ということになる。前回調査では、それぞれ27.8%、19.4%だから、相当な上昇基調であることがわかる。
  (http://www.health-net.or.jp/data/menu05/toukei/tonyo_h14.pdf)

 「平成13年度 国民医療費の概況」によれば、糖尿病の医療費は1兆1,743億円と巨額である上、前年度比5.3%増だった。このまま罹病率が上昇したら、ただならない状況が予想される。
  (http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/01/toukei6.html)

 そうなると、「健康日本21」に期待するしかあるまい。

 少なくとも、予防活動が活発化するから、検診数は増える。これによって、治療すべき患者が早期に発見されるようになろう。重篤な患者の増加率を下げることはできるかもしれない。

 しかし、肝心の、糖尿病の予防の方は期待できそうにない。

 というのは、肥満指標(BMI)で発症リスクを判断する方法が推奨されているからである。
  (BMI=体重(kg)÷身長(m)2である。25を越えると高脂血症/高血圧/糖尿病にかかりやすくなる。)

 この方法は、欧米のやり方である。病気は変わらないから、同じ指標を採用して当然と考えると、間違った方策を選んでしまうことになる。
 間違いというと、言い過ぎかもしれないが、少なくとも、実践性が薄いのである。日本人の場合、BMIでのリスク管理は難しすぎるからだ。

 具体的な数字で見ればすぐにわかる。
 「平成14年 国民栄養調査結果の概況」を見ると、50才代の25.6%、60才代の33.3%が、すでにBMI値が25を越えているのである。
  (http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/12/h1224-4.html)

 先の調査を見てわかるように、60才代の糖尿病は3割に達している。つまり、BMIが25以上の人の割合とほぼ同じなのである。これでは、BMIを先行指標として使うのは無理である。
 従って、日本では、肥満状態でリスクを判断する方法は避けるべきである。

 一度でも、米国を訪問した人なら、その理由はすぐにわかると思う。

 米国では、明かに肥満体の人をあちらこちらで見かける。BMIが30を越える人が3割を越す社会なのである。BMIが25ではない。30である。
 この状態なら、BMIを見ていれば、糖尿病発症のリスクの高まりがわかる。
 しかし、日本では、BMIが30を越える人には滅多にお目にかかれない。数パーセントしかいないのである。それでも糖尿病患者は多いのである。
 つまり、日本では小太りぎみでも、糖尿病が発症するのだ。欧米のように、誰がみても肥満、という状態になってから発症する訳ではないのだ。

 要するに、日本人は体型だけ見れば、欧米より健康体なのである。体質的に太りにくいのである。
 にもかかわらず、、糖尿病が激増している。
 ということは、日本人の場合、体型を示す指標(BMI)で判断しても、意味が薄いということになろう。

 つまり、日本人は、欧米人とは違うリスクを抱えているのだ。
 それなら、欧米とは異なる視点でリスクを判断する必要があろう。
 (日本の場合は、若者や子供で糖尿病が蔓延する可能性も考えられる。)

 具体的にはどうすべきか。
 これは、本来は専門家が考えることである。しかし、日本では、権威者が決めたことは、変更されることは稀だから、表立った提案がでてこない可能性が高い。

 素人アイデアで一例をあげておこう。

 一番実践的な指標は、個人の生活状態に合わせた、カロリー摂取量の計算方法だと思う。
 どの程度のカロリー量が望ましいかを推算した上で、現実の摂取カロリー量を概算し、両者のギャップを計算する。この大きさでリスクを見るべきである。

 患者の食療法並と映るかもしれない。恐ろしく面倒に映るかもしれないが、インターネットのウエブで使い易いソフトを提供すれば、それほど難しい訳ではない。入力方法さえ工夫すれば、たいした手間ではない。
 血縁に発症者がいるかで、リスク幅も変えれば、よりわかり易くなろう。

 要は、知恵である。

 おそらく、かなり踏み込まない限り、予防効果は期待できまい。  


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