↑ トップ頁へ

2005.12.15
 
 


見る気がしなくなるポータルサイト…

 「ライフサイエンスに係る各種の情報を研究者や国民に広く発信するため、ライフサイエンスの総合的なポータルサイトとなる」(1)プログラムが始まった。そろそろ充実してきた頃合と考え眺めてみた。

 相変わらずの省庁縦割り姿勢は変わらない。  リンク先を見ると、文部科学省に関係するページが並んでいるが、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、環境省に関しては各省のトップページが設定されているだけ。あとは自分で探せということらしい。流石に、研究事業の頁には、他省へのリンクが張られているが。
 ここはあくまでも、“文部科学省”の活動を知ってもらうためのライフサイエンス ポータルサイトのようだ。この分野でリーダーになる気力が無いのか、他の省庁に係ると面倒だから避けているのかはわからないが、こんな狭い視野で「ポータルサイト」と自称するのだから驚きである。

 この自称「ポータルサイト」の一番の特徴といえば、動画像プログラムを大幅に取り入れたデザインだろう。おそらく、綺麗なページにすれば、見る方は嬉しいと誤解しているようだ。
 内容に魅力なければ、逆効果でしかないのだが。

 とはいえ、「研究事業」(2)を見ると、ライフサイエンス施策の全体像がおぼろげながら見えてくる。
 これは勉強になる。

 すぐに分かるのは、全体像が提示されていないこと。

 7つ掲げられたプロジェクト名を見て、組み立て方が理解できる人は稀だろう。文部科学省のライフサイエンス研究方針を象徴するような状況である。
 おそらく、恣意的に、脈絡なき政策が登場したのだろう。まとめようが無い訳だ。

 具体的に見てみよう。

 先頭が、「社会ニーズを踏まえたライフサイエンス分野の研究開発」。
 他と比べると、大きな題名に映る。従って、これが包括的なテーマと考えがちだが、とんでもない。
 小項目は2つしかないのである。片方は疾病名。もう一つは“分子イメージング”。

 社会ニーズとして疾病対策があげるのは至極当然といった感じを受けるかもしれないが、対象疾病は“感染症”だけなのだ。癌、循環器系疾患(脳血管・心臓)、糖尿病といった問題があがりそうなものだが、“社会ニーズ”からみると“感染症”が最優先されるのだろうか。あるいは、そちらは厚生省にでも任せるのだろうか。さっぱりわからぬ。
 “感染症”の具体例が載っているが、“SARS、鳥インフルエンザ、BSE、西ナイル熱、エボラ出血熱、等”だ。
 HIVは重要なテーマではないらしいし、抗生物質耐性菌は別問題だろうか。ますますわからなくなる。
 政治屋の香りがふんぷんとするテーマである。

 もう一つの項目“分子イメージング”は、どのような内容なのか、そして、どんな“社会ニーズ”に対応するのか皆目見当もつかない。解説図を覗いて見ると、どうも癌の判定研究を指すらしい。
 とっかかりの一言は、“現在の技術 PETによる腫瘍の位置の判定のみ”。唐突に、PETが登場する。
 どうやら、癌の判定の高度化が社会ニーズらしい。治療ではなく、判定をしっかりせいという要求があるということなのだろうか。
 さらに、これに繋がる論理展開が秀逸。
 “・安全で高度な医療への期待”とくる。---PETによる腫瘍の位置の判定は危険とでもいうのだろうか。あるいは、癌の誤認を止めようというのか。素人にはさっぱりわからぬ。
 現行の医療の問題点を指摘し、このテーマの重要性を語ろうとしていると思い見ていると、そういう訳でもない。
 次に全く違う話が並ぶ。
 “・国内要素技術の高いポテンシャル”---社会ニーズとどう関係するのかね。
 “・欧米で大型分子イメージングプロジェクトが開始”---それで。

 なるほど。ここで言う社会ニーズとは、“国内の研究者を使って欲しい”と“欧米に負けるな”ということなのだ。

 未だに、こんな感覚でテーマを設定しているのが、文部科学省という組織なのである。

 さて、「社会ニーズを踏まえた」テーマに続くのは、「画期的な創薬・医療」と「がん研究」だ。この2つは別ものなのか、それとも“癌”分野だけは特に注力するつもりなのか気になるところだ。
 前者の内容は“ポストゲノム研究”。極く当たり前の流れである。
 一方、後者は“トランスレーショナルリサーチ”と“重粒子治療”の2つ。癌は医薬開発が難しそうだから、特別に検討するというなら、はっきりわかるように記載して欲しいものだ。素人からすれば、この2つに絞った理由を知りたいところだが。

 次にくるのが「発生・再生」。基盤は理研が担当するそうだ。
 その次が「脳科学」これも理研担当。

 そして、「戦略的重要研究」と続く。これは、述べてきた研究以外の重要な研究ということなのだろうか。
 うち、「免疫アレルギー」「植物科学」は理研。
 最後の“バイオリソース”も理研中心とのことだ。

 目標も内容については記載がないから、これ以上なにもわからないが、ともかく重点分野は理研に集約する方針らしい。

 たったこれだけのことを知らせるなら、一枚の表で十分である。ところが、このサイトは美しい画面を何度も往復しないと読めないように作ってある。恐ろしく面倒なサイトだ。二度と見る気がしない。

 --- 参照 ---
(1) http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/life/main.htm
(2) http://www.lifescience-mext.jp/projects/index.html


 ゲノムの時代の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2005 RandDManagement.com