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2006.1.19
 
 


夢の癌治療システムへの第一歩…

 2005年9月更新の国立がんセンターの「ポジトロン(PET)検査」(1)をみると、“腫瘍の機能をみる・・画像診断として非常に有用性が高い”が、“「すべてのがんが早期発見できる」「100%確実に診断可能」といった、夢のような診断法ではありません。”という評価だ。

 ふ〜ん。

 言うまでもないが、画像技術は日進月歩であり、機能がわかる画像と形態を見る画像を重ねることなど、コンピュータソフトで可能な時代に、このような発言を載せて、どのような意味があるのだろう。
 画像を重ねる技術を取り入れた米国発の装置を、日本に初導入したのは放医研。その解説(2)がホームページに載ったのは2002年7月のこと。それからもう何年もたっているのだが。

 画像重ね合わせの技術(Fusion Imaging)で日本が遅れているということを示しているということかもしれない。

 もっとも、治療の現場にとっては、そんなつまらぬ国籍感覚などなんの意味もなかろう。優れた装置があるなら、すぐに取り入れるだけのことである。(3)
 現実に有用性があり、保険のお墨付きさえあれば、そのような技術はすぐに浸透していく。形態画像を取り込んだPET装置など、すぐに当たり前のものになっていくと思われる。
 そして、ブドウ糖代謝/RI/モノクローナル抗体を活用したin vivo癌画像診断薬による高度化が進むから、機械で見れば、癌診断はすぐにできる筈だ。

 癌診断の進歩は歴然としている。PET画像だけでなく、Virtual Colonoscopy(結腸鏡)、Mammography(乳癌画像)も急速に有効性が高まっているからだ。

 一方、Fusion Imaging技術進歩の流れに乗って、癌を叩く治療機器利用も凄まじいスピードで進んでいる。(4)

 言うまでもないが、「Cyber Knife」(5)のことである。
 機器のコンセプトは単純である。ファナックの精度のよい工業用ロボットの腕に小型の直線加速器を取り付け、ミサイルの追尾装置のように、様々な角度から癌の部位目掛けて放射線を照射するだけのこと。

 Fusion Imaging技術で、患部を的確に捉えることができる上、患部と避けたい部位への照射量を計算して、照射戦術を案出できるようにしたから、実践性が高いのである。

 ここまで技術が到達すると、癌発生のメカ二ズムを解明することより、こうした現実的手段に皆の期待が集まることになろう。

 “夢のような”癌対策が始まる可能性は否定できまい。

 身軽な格好で、朝、病院に行く。
 そして、午前中は、診断装置で全身を見てもらう。
 午後は、癌の部位を治療機器で叩いてもらい、結果を聞いて、次回診断予約をとり、お金を払って帰宅。

 放射線治療は副作用ももたらすだろうが、そのリスクと癌で苦しむリスクを天秤にかければ、どちらが重要かは自明だろう。

 こんな時代が見えてきたようだ。実現すれば、平均寿命は10年延びるかもしれない。

 個人にとっては嬉しい話だが、現行の健康保険制度では耐えきれまい。それより、社会が膨大な高齢者を支えることができるだろうか。
 大変な時代が到来する予感がする。

 --- 参照 ---
(1) http://www.ncc.go.jp/jp/ncc-cis/pub/diagnosis/010605.html
(2) http://www.nirs.go.jp/report/nirs_news/200207/hik6p.htm
(3) 第41回日本核医学会総会 http://www.jsnm.org/paper2/38-5/pdf/486-492.pdf
(4) http://www2.aki-net.co.jp/jns64/tcntop.html
(5) http://www.accuray.com/cyberknife.htm


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