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2006.7.31
 
 


流感が間近に迫る…

WHOのAVフェーズ
[検出・感染]
動物で検出
感染性確認
ヒト未感染
リスク明確化
ヒト発症
ヒト間無し
小規模罹患
ヒト間発生
集団罹患
地域的流行
パンデミック
急拡大
post 回復
 高病原性鳥インフルエンザは、ついに、正真正銘のフェーズ4に入ってしまった。ヒト間での感染が明らかになったのである。
 インドネシアとベトナム両国で、2006年の死者数はすでに40を超えており、全く収まる兆しがない。(1)

 2006年7月16日、サンクトペテルブルグG8サミットで「感染症との闘い(2)」が発表されたが、声明内容が弱すぎる。
 中国に対して、国際協力体制を敷くように求める姿勢が全く感じられないからである。これではほとんど効力はない。

 中国の養鶏数は100〜200億羽と巨大である。ここで大規模感染が発生したら、とんでもないことがおきる。その可能性は低い訳ではなかろう。そんなリスクを抱えているにもかかわらず、中国政府はウイルスサンプル提供に協力的ではないという話があるようだし、2005年の渡り鳥大量死のニュース確認もできていない。相変わらず、情報管理を徹底しているのである。
 隠蔽は無いとの主張らしいが、どこまで本当かは全くわからない。
 驚かされたのは、2006年6月に、New England Journal of Medicine に掲載されたレターの内容。(3)2003年11月にSARSとされた症例は、実はH5N1型の誤診だったという報告が掲載された。これも真偽のほどはわからないが。
  → 「鳥インフルエンザ蔓延に進むのか 」 (2006年5月8日)

 呆れた国と言って批判している余裕はなさそうである。
 流れを振り返って、今後の展開を予想し、対処方法を考えた方がよい。少なくとも、海外へ行く場合はそれなりの対応が必要である。(4)
 特に厄介なのがベトナム。この地域では、庭先養鶏が基本だから、感染防止は無理だ。

 ○発端 (1997年)  香港でヒト罹患[H5N1型]
 ○香港:ウイルス退治成功 香港周辺:小規模発生
 ●第1波 (2003年12月〜2004年3月中旬)
   日本を含め、中国、東南アジア全域で家禽類感染
   ベトナム中心に、タイなどでヒト感染(発病鶏への濃厚接触者)
     → 「インフルエンザ研究への期待 」 (2003年12月19日)
     → 「流感がもたらす危機 」 (2004年2月5日)
 ○一時的収束
 ●第2波 (2004年6月〜11月)
   中国、インドネシア、ベトナム、マレーシアで家禽類感染 発生定常化
   ベトナム、タイでヒト感染
     → 「恐怖の季節 」 (2004年7月26日)
 ●第3波 (2004年12月〜2005年6月)
   ベトナム、タイ、カンボジアでヒト/家禽類感染急増
   ベトナムでの死亡者増加 家族規模での発生
 ○ベトナム若干下火(国際的支援の一時的奏功)
 ●第4波 (2005年夏〜2006年5月)
   2005年5月に中国で渡り鳥大量死のニュース[真偽不明]
   2005年5月にインドネシアで家族感染発生(ヒト→ヒト感染発生)
   2005年後半からインドネシアでヒト感染例増加(鶏→ヒト感染力向上)
   2005年秋 西アジア・中東から欧州まで家禽類感染拡大 濃厚接触者罹患発生
     → 「鳥インフルエンザ情報を眺めて」 」 (2005年11月15日)
 ●第5波?

 この流れで一番気になるのが、ベトナムの収束、再発、といった波の存在である。
 初期は、病原への濃厚な接触者のみが罹患し、病状も重篤という話だった。
 それが、家族規模で罹患するようになってきた。インドネシアの例から見ると、ヒト間の伝染だったかもしれない。

 気にかかるのは、ベトナムで一時沈静気味になった点である。

 これは、感染すると劇症というパターンが変わった兆候かも知れない。
 そうなると、東南アジアでは、すでにウイルス感染が思った以上に広がっていることになる。死亡率3割〜5割という高さではなくなったが、伝染性は高まった状態が考えられる。
 人口膨大でしかも稠密な中国で、こんなことが発生すると、大変なことになる。流行が始まったら、抑えるどころではない。東アジア全域での大流行も時間の問題だろう。

 もっとも、その一方で、嬉しいニュースもある。ワクチン開発が成功したのである。
 2006年7月26日、GlaxoSmithKlineがH5N1型鳥インフルエンザ用ワクチンの臨床試験結果を発表した。(5)数ヶ月で認可見込みだという。2回で成人の8割が免疫を獲得したという。余り効かないワクチンしかできまいと見ていたが、高い有効率には驚いた。

 これでようやく一安心といったところか。

 --- 参照 ---
(1) http://www.who.int/csr/disease/avian_influenza/country/cases_table_2006_07_26/en/index.html
(2) http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/summit/saintpetersburg06/03.html
(3) “Fatal Infection with Influenza A (H5N1) Virus in China”New.Engl.J.Med. [2006.6.22]
  http://content.nejm.org/cgi/reprint/354/25/2731.pdf
(4) http://www.pubanzen.mofa.go.jp/info/info.asp?num=2006C082
(5) “GSK Reports Significant Advance in H5N1 Pandemic Flu Vaccine Program”[2006.7.26]
  http://today.reuters.com/stocks/QuoteCompanyNewsArticle.aspx?view=PR&storyID=102009+26-Jul-2006
  +PRN&search=EEE&searchtype=symbol&norics=1
  “GlaxoSmithKline initiates human trial programme with two H5N1 pandemic”
  http://www.gsk-bio.com/webapp/gsk/upload/document/h5n1_en.pdf


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