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2007.9.13
 
 


バイオリソーシスの新しい動きについて…

 バイオリソース(動物、植物等)について収集・保存提供を行う「ナショナルバイオリソースプロジェクト」(1)が2002年から実施されている。博物学や種の保存の重要性を認識していた英米に遅れること数十年。
 しかし、始まったとはいえ、動物はマウス、ラット、ショウジョウバエといった素人でも知っているようなものばかりだった。国と民間ビジネスの境界をはっきりさせずに、どのように進めていくるのかはよくわからないが、国にまかせた方が安心なのだろう。

 魚にしても、飼育できるメダカやゼブラフィッシュである。
 漁業ということで、サケ・マスは研究しているから、特にあげる必要はないが、こちらはそうはいかないから、国が面倒を見るということのようである。

 素人がこんな話をするのは、実験用の生物材料とライフサイエンス研究を考える時には、2つの視点が重要との話を読んだからである。
 “一つは「不思議な生物(現象)を見たとき好奇心が生まれる」ということであり、もう一つは「自分の問いに答えるのに最良の生物系を見いだす」こと”(2)

 成る程。

 しかし、研究者を目指す人が、今時、メダカやゼブラフィッシュに不思議感を抱くものだろうか。
 1960年代ならわかるが、今はどこでも使う実験生物なのではなかろうか。
 ということで、今後、どのような生物をプロジェクトで扱うつもりか気になっていた。

 2007年7月31日の発表を見ると、「カタユウレイボヤ」と「ニッポンウミシダ」が加わった(3)
 これらが好奇心生む生物に該当するのだろうか。

 もっとも、ホヤは、発生のモデル生物として誰でも知っている代物ではある。すでに、ゲノム解析は2002年に終わってしまった。(もっと早くから、国全体で研究のネットワークを作っていたら、成果も大きかったろうに、と思うと残念なことである。)
 ただ、「カタユウレイボヤ」は食べるホヤとは違うから、おそらくは、そう簡単には入手できないだろう。それに、継代飼育していくこのも、結構厄介な仕事のようだし。(4)

 なにも、各大学が臨海実験施設を持ち、貴重な時間をつぶす必要はない。どこかで、一括して実験動物として確立していくのは、研究効率向上には大きく寄与するに違いあるまい。

 だが、「ニッポンウミシダ」となると、不思議感はありそうだ。切っても再生するし、視覚もあるが、方向性はないからだ。いかにも、一寸、違う方向へと進んでしまった生物という印象を与える。
 素人からすれば、これが動物か、と驚かされる。
  → 「天草の海の話 ニッポンウミシダ 」 天草の漁師 ノリさん

 水族館で見かけるから、飼育手順は確立されているのだろうが、ふんだんに材料を提供するとなると簡単ではあるまい。
 東大 三崎臨海実験所が飼育し、全世界に実験材料として提供するようだ。(5)

 様々な観点から研究が進むと、全く新しい知見が生まれそうな感じがする。

 --- 参照 ---
(1) http://www.nbrp.jp/about/about.jsp;jsessionid=89357BDD009B1A83825F4AC1838AF92A
(2) 本庶佑: 「実験材料の選択から生命科学は始まる」 NBRPシンポジウム [2006,2,9]
  http://www2.convention.co.jp/nbrp/yoshi0309/05.pdf
(3) 文科省「平成19年度ナショナルバイオリソースプロジェクトの採択課題一覧」
  http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/19/07/07072709/001.htm
(4) http://www.ciona.info/j_contents/breeding.html
(5) “ナショナルバイオリソースプロジェクトとして世界に提供されるニッポンウミシダ”
  http://www.s.u-tokyo.ac.jp/info/oxy/oxy.html
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