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2008.7.31
 
 


防疫強化策より、タミフル備蓄だ…

 インドネシアでの、鳥インフルエンザのヒト感染事例で、タミフル服用開始時期と生存率の関係を見ると、(1)思ったとおり。早期に服用しないと確実に死亡するのである。
 周囲で死者が発生していないから、関心が遠のいているようだが、鳥インフルエンザそのものは止まるどころか、定常的に発生するようになってきた。ヒト感染型が生まれれば、あっというまにパンデミックだ。パニックが何を引き起こすかは誰も想像がつかない。日本に逃げてくる人をどうするのか、という問題に直面するのだが。

 まあ、とりあえずという感じで、2008年6月30日、骨太の方針に、「新型インフルエンザ対策に関する提言」内容が盛り込まれたようだ。しかし、その内実はお寒い限り。現実に発生しても現場が動けるように法律は整備しないのだとか。いつもながらの、遅ればせながら、形式を整えて完了ということにしたようだ。(2)地方自治体丸投げで行くようだが、パニック状況でそれで機能するものだろうか。常識的には、このマネジメントの仕組みを考えておくものではないか。(3)
 そもそも、水際侵入阻止に力を入れるという、一般受けしそうな課題を表に出すこと自体がどうかしている。大流行をいかに阻止するかが重要なのは自明だ。合理的な思考はできないと見える。

 なにせ、死亡者発生が続くインドネシアで、事例の即時公表を止めると政府が言い出している位で、ヒト感染が始まった情報が伝わった時はもう遅い可能性が高い。(4)
 広大な中国など、情報はコントロールされているし、農民が政府の命令に諾々と従うとも思えない。なにがおこってもおかしくない。
 東アジアには、水際防衛できる条件は全く整っていないと見た方がよかろう。

韓国高病原性鳥インフルエンザ発生状況
- 「連合ニュース」等の引用データ孫引(5) -
- 発生地域 - - 期間 - 件数
全羅北道 4月3-23日 25件
全羅南道 4月9-13日 2件
京畿道 4月16日 1件
忠清南道 4月25日 1件
蔚山広域市 5月1日 1件
慶尚北道 5月1日 1件
大邱広域市 5月2日 1件
京畿道 5月5-8日 2件
ソウル特別市 5月6-12日 2件
江原道 5月8日 1件
釜山広域市 5月10日 3件
慶尚南道 5月12日 1件
慶尚北道 5月15-18日 2件
 そして、お隣の韓国の防疫体制が、いかにいい加減なものであることもはっきりした。

 4月に発生し、一気に全土に蔓延したのだ。(5)膨大な数の殺処分で、6月末にどうやら終焉させたが、ほとんど機能していない。拡大を防止する体制は名目的なものと見てよいだろう。おそらく、狭い範囲の隔離消毒でお茶を濁したに違いない。靴がウイルスを運ぶ可能性があるのに、対処するつもりがなかったということ。
 なにせ、“へたり牛”で大騒ぎしておきながら、その後、「京畿道内では年間600頭のへたり牛が発生している」(6)と平然と語る国である。

 まあ、他国のことを批判できる状況でもない。
 杜撰という表現を通りこしているのが、日本の仕組み。4月20日野鳥が死んだが検査せず。5月8日に別の死体発見。簡易検査では陰性。驚くのは、環境庁がこの鳥を再度調べたというのだ。一体、どういう理由なのか、理解を超える動き。
 すると、韓国と同じ型のウイルス株が検出されたという。その発表がなんと5月22日のこと。(7)
 韓国で大変な事態が発生していることを知りながら、この姿勢だ。だから、どうするという話もでない。たいした防疫体制である。
 残念ながら、これが日本の現実である。あてにすれば、えらい目にあうのは目にみえている。

 ともかく、その日に備え、タミフルを潤沢に備蓄するよう、しつこく要求する以外に手はない。

 --- 参照 ---
(1) 外岡立人: 「鳥及び新型インフルエンザ海外直近情報集」 http://homepage3.nifty.com/sank/
(2) 「新型インフル対策が始動」 読売新聞(科学部 本間雅江/高田真之) [2008.6.30]
  http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080630-OYT8T00236.htm
(3) “Political Borders, Health-care Issues Complicate Pandemic Planning” Science Daily [2008.7.8]
  (Purdue Universityのレポートのニュース) http://www.sciencedaily.com/releases/2008/07/080707121907.htm
(4) “Indonesia Stops Announcing Human Bird Flu Deaths on Case-by-Case Basis” Voice of America [2008.6.5]
  http://www.voanews.com/english/2008-06-05-voa56.cfm
(5) 「鳥インフルエンザについて 」 在大韓民国日本国大使館 公報文化院
  http://www.kr.emb-japan.go.jp/people/news/news_080227.htm
(6) 「へたり牛、埋却処理する/京畿道」中央日報 [2008.07.08]
  http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=102207&servcode=400§code=400
(7) “森側でも強毒性ウイルス 十和田湖のハクチョウ2羽 ” 東奥日報[共同通信社] [2008.5.22]
  http://www.toonippo.co.jp/news_kyo/news/20080522010006411.asp
(地図) (C) 三角形 井上恵介 →白地図、世界地図、日本地図が無料


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