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■■■ 魏志倭人伝の読み方 [2019.1.2] ■■■
[2] 女王国比定地

邪馬壹國が何処かという話は盛んだが、要するに30ヶ国のまとめ役の国であるから、時代さえはっきりさせれば間違うことはない。
 使譯所通三十國
ヤマトの比定地だけ議論しても説得力は弱い。記載されている国すべてを推定する必要があろう。

その場合、鍵を握るのが、規模が大きい投馬國。

すでに述べたように"南行"の方位にほとんど意味がないとすれば、投馬國前後の旅程の所用日数から考えて、出雲と考えるのが自然である。しかも、北九州地区の国々の正副長官名とは全く違っているミミだ。「古事記」では古代名称で登場するから、この推定に違和感も薄かろう。
 南至 投馬國 水行二十日
  曰彌彌副 曰彌彌那利 可五萬餘戸
 南至 邪馬壹國女王之所都 水行十日陸行一月


30ヶ国はそれぞれの読みだけでは、類似地名はほとんど発見できない状態。従って、各国名想定は無理であり、何もわからぬというのが現実だが、それではどうにもならない。
出鱈目に並べているとは考えられないから、ある程度のグループ毎にまとまっていると見なし、「古事記」のセンスに倣い、強引にあてはめてみるしかなかろう。何の根拠もないが、奇妙な漢字名が多いので、そこらからのいい加減な思い付きで書いてみると、例えば、このようになる。・・・
○出発
 [204/〜220/洛陽〜265年]帯方郡[204-313年]銅爵臺@
○朝鮮半島西岸沿い航海
 (黄海の馬韓沿海)
○半島南端より東方へ航海し寄港
 狗邪韓國…金海(任那加羅)@弁韓/弁辰
   内陸を含む地名だから、寄港地はその地域に所属する島だった可能性もあろう。

---《渡海中継国》
 …対馬
 一大國…壱岐
---《北九州国》
 末盧國…肥前 松浦
 …筑前 怡土
 _…博多湾に注ぐ那珂川辺り
 不彌國…現代の命名の福津(福間&津屋崎)辺り
---《中枢国》
 …ツマ/出雲
 壹國…ヤマト/大和
---《衛星国》
 (尾張系)
 …シマ/志摩
 巳百支國…イオキ/伊吹
 伊邪國…イザ/伊賀
 支國…トキ/尾張
 …ミヌ/美濃
 (難波系)
 好古…ココト/河内
 不呼國…フト/摂津
 …ソヌ/泉 佐野
 (四国〜紀伊系)
 …ツサ/土佐
 …サヌ/讃岐
 呼邑國…コオ/阿波
 …カヌサヌ/淡路
 _…キ/紀伊
 爲吾國…イゴ/伊予
 (日本海側航路関係)
 …キヌ/敦賀 気比
 …ヤマ/山城
 躬臣国…クシ/越
 (瀬戸海航路上重要なので特別扱い)
 巴利国…ハリ/播磨(〜丹波)
 支惟國…シイ/吉備
 …ウヌ/長門
 (北九州枢要国)
 _…ヌ/宗像 (不彌國東隣国 西隣国も同名の奴國)
    此女王境界所盡
この先は、女王国とは肌が合わない非帰属国。
    其南有
 …クヌ/熊襲国
  男子爲王其官有狗古智卑狗 不屬女王

北九州の奴国の南に存在する敵対的な国との情報を得て記載しただけとすれば、熊襲と考えるのが分かり易かろう。球磨国の鞠智彦との説があるそうだが、もっともな見方。菊池川辺りの"ククチ彦"勢力ということになり、まさしく奴国の南の支配者。
より正確には、"ヒミココ"との連合勢力。
  倭女王"卑彌呼" 與 狗奴國男王"卑彌弓呼" 素不和

この国々羅列の後で、俯瞰的に東アジア地図上に女王国を位置付けたかのような、いかにも中華帝国観紛々の記載がある。東域でも、夷人の住む最果ての地を配下に置いたとの自信に満ちた推定値だろう。
 自郡至女王國萬二千餘里
 計其道里當在會稽東治之東
越国/福州の東方離島との見解も披歴。
福州は台湾対岸辺りであるから、イカニモ感あり。海流の関係で滅多に渡航できない、噂的存在の先島〜沖縄辺りの小さな島々を知っていた筈で、そこらは亜熱帯モンスーン気候に属すから、同じ風土の国と見計らったのだろう。要するに、魏国は、本格的な黒潮海人の情報はほとんど入手できていなかった訳である。おそらく、荒れる外洋の黒潮は避け、航海といえば、福州から海南島まで流れる沿岸反転流や、黄海〜渤海湾辺りと、大河や湖しか眼中になかったのであろう。

その辺りを、女王国は百もご承知。その上で外交対話を行ったことになろう。つまり、実態を出来る限り知らせず、朝貢で都合良き関係を締結すべく対応しただけ。
「古事記」からすれば、ヤマト勢力は、常時、南九州の阿多隼人や大隅隼人の情報を得ていた筈だし、そこらは天皇家の祖が力を得た地でもある。それを上手く活用して、魏と対立している勢力の地に近そうな地に見せかけ、いかにも海南島人や人とも繋がっていそうな雰囲気作りに徹したのであろう。大陸の戦乱をほとほと嫌って渡来してきた高級難民の入れ知恵臭いが、外交手腕を十二分に発揮したのは間違いない。

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