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■■■ 魏志倭人伝の読み方 [2019.1.13] ■■■
[13] 侏儒國

 女王國東渡海千餘里復有國 皆倭種
 又 有侏儒國 在其南 人長三四尺
 去女王 四千餘里


方位的には東なのに南行との誤認は倭国の外交手腕にのせられたことで発生したと思われるが、倭国の地理的位置についての常識がすでに確立していたことも大きい。
それを考えると、倭国を訪問した際の初耳事項に属する倭国の離れ島の方位は地理的に真っ当な情報かも。
そうなると、東渡海千餘里だから、「古事記」記載の島から見て、佐渡島を指すとしか考えられない。
(北方ステップの馬賊的遊牧民のツングース系なら知っていそうだが、峡西系の農耕民系の魏には皆目わからなかったのであろう。渤海湾しか外海に繋がっていなかったのが実情なのだから。中国北方の人種的系譜で見るなら、最終的には、漢・魏系は自ら定着化させた遊牧勢力によってほぼ消滅させられたと見てよさそう。)

一方、侏儒國は倭国から遠いとはいえ航海できそうもない地という印象。
こちらは、すでに「山海経」記載の常識があるので、改変する必要性もないからママである。倭国を通じて実在する国であることを確認した訳である。
  海外南経…周饒在其東其為人短小冠帯
  大荒南経…有小人名曰焦僥之国,幾姓,嘉穀是食

魏志倭人伝はあくまでも"事実"をママ記載した書であり、小生は侏儒國は実在と見る。

その侏儒種だが、人種分類ではモンゴロイドでなく、オーストラロイドのNegritoを指しているのではないか。黒潮源流域に近いルソン島山岳森林帯に住む肌が黒褐色で低身長が矢鱈に目立つ残存部族のこと。
山奥で孤立した生活を送ってきたように映る部族だが、周囲からの影響は大きく、言語を含め、古代文化が現在の生活から垣間見える訳ではない。どこからか移住してきた可能性もあるが、熱帯の島嶼域だから原住民と見てよさそう。
情報僅少だが、鉄器を所有していたようだから、孤立を望んでいた人達ではないようだ。
海人的要素はほとんど見つからないが、居住地はピナツボ火山周辺が多いようだから避難渡航もあったかも。それに、他島への移住が禁忌とは思えないから、長期漂流の憂き目の果てに倭国領域に漂着してもおかしくはなかろう。
(オーストラロイド系の出自を考えると、出アフリカを海路ルートで果たした東行グループの可能性もある。)

女王国から4000里との距離感は倭国情報だろうが、その地がルソン島だとすれば、なかなかのもの。
魏の外交高官は倭国は黒潮海人の国と認定したと見てよさそう。そして、外洋には倭種以外の黒潮海人が存在していることを再確認した訳だ。

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