→INDEX ■■■ ジャータカを知る [2019.3.10] ■■■ [2] インド"童話" 「ジャータカJātaka/佛説本生經」は、全547話だが、そこから67話を取り出した翻訳「童話集」があるので見ておきたい。・・・ 松村武雄[訳]:"ヂャータカ"「世界童話大系. 第10巻(印度篇)」大正14年 [→NDLデジタルライブラリー] 神話学者である松村武雄[1883-1969年]は"解題"で、これは最古の童話集だが、それが仏陀の前世に関する一つの物語になっている理由を以下のように明かしている。 ○単に古の聖者と仏陀を同一視 するばかりでなく、 ○さまざまの動物をも 仏陀の一転生と考えるやうになり、 ○仏陀以前から印度に流布してゐた 多くの寓話や民間説話の主人公までも 仏陀の権化となすようになり ヂャータカ物語は、つぎつぎに数限りなく生みだされて来た。 つまり、仏教起源ではない話が少なくないから注意するようにと指摘してくれているのである。 もともと、仏教は「ベーダ教」から民衆基盤の自由思想運動として生まれたと言えなくもないのだから、民衆に近づけば近づくほどそうなるのは当然の流れである。 確かに、松村の言う通り、話の筋とご教訓がしっくりこない話もあるし、素朴な大団円で終わってよさそうな筋を無理矢理ひっくり返したように映る話もある。そこまでしなくてもと思うが、宗教家の感覚は一般人とは違うのである。 ともあれ、滋味豊かで独自性がある童話だけを選んだという。 小生としては、どんな動物譚が選ばれているかに関心があるが、思った以上にヒトだけのストーリー物が選ばれている感じがする。一方、登場動物の方は予想通り。と言うか、現代云々されてきたジャータカ物語のネタはほとんどこの本だろうから、そう感じて当然なのかも知れぬが。 ただ、現時点で日本の動物園には飼われていない怠熊Sloth bear/懒熊がいないのが気になる。インドでは昔から人気者ではないかと思ったのだが。原書にも無いのだろうか。 猫と鼠の話が選ばれているのも面白い。鼠は象頭神のガネーシャを支える動物だから、その天敵は嫌われて当然という手のストーリーになっているのが面白い。 ソウ、ソウ、豺[辞書ではヤマイヌ]は"音読みのサイ"と記載されているが、現代用語ではジャッカルJackal/胡狼だろう。 目次だけ転記しておこう。ついでに気になった話だけメモもつけて。 第一話小鍍金師 死んでいる鼠から始まる"藁しべ長者"タイプだが、 利口であるが故の成功談。 菩薩は小鍍金師で、最初の切欠を創った。 お礼に来たので娘を嫁に。 第二話王さまと薪拾ひ 王が薪拾いの女を気に入り妊娠させてしまった。 王宮外での出産を命じ、指輪を与える。 子(菩薩)と共に訪問するが、王は知らぬと。 生死の誓約で、子が息子と判明。王位を継ぐ。 第三話猿と喰人鬼 知らない森の中は危険。猿達は猿王(菩薩)の指示待ち。 池に人喰鬼が住んでいることを察した猿王は 葦をストローにして水を飲んだ。皆真似。 鬼は出てきて悔しがる。 第四話犬の罪 第五話牛の不平 豚は美味い物をあてがわれ殺されて食べられる。 不味い物でも死なない牛の境遇の方が素晴らしい。 第六話獵師と鶉 第七話年齡比べ 鷓鴣 猿 象 第八話横柄な奴隷 第九話鳩と烏 第十話愚かな猿 第十一話盜賊と財寳 第十二話婆羅門僧の唱言 第十三話身のまもり 第十四話恩を仇 僧侶が激流に流されて来た蛇 鼠 鸚鵡と王子を助ける。 お礼を申しでたので、本当か訪問していく。 象に乗った王子は、動物を先に介助したの恨んでおり、 恩人の処刑を命じ、実情を知った人々に逆に殺されてしまう。 第十五話慾張り鍍金師 第十六話剛勇小人 第十七話寳石の行方 盗ったのは牝猿だった。 第十八話お喋り坊主 第十九話喰はせものの豺 鼠を騙して喰っていた豺も見破られて殺される。 第二十話噴嚏のよしあし 第二十一話黄金の鵞鳥 第二十二話水晶箱の鼠 石切と鼠が仲良く暮らす。猫は自滅。 第二十三話棒の試し 豺獲り失敗。 第二十四話象の腹の中の豺 第二十五話馭者問答 第二十六話一粒の豆 第二十七話弓の名人 第二十八話魔法の寳 第二十九話馬具をつけた坊さん 第三十話鬼の國 難破して人食い鬼女の国に漂着した商人を空飛ぶ馬(菩薩)が救い出す。 第三十一話阿呆烏 第三十二話上下の飯 第三十三話無理な注文 第三十四話なぐられ役 第三十五話豺の呪文 豺は世界征服の呪文を知ってしまい動物の王に。 象の上に獅子、その上に乗って君臨し、ヒトの王に挑むが失敗。 第三十六話すはうの樹 第三十七話蟹と象 第三十八話鏡面王の裁決 第三十九話象使ひの幸福 第四十話狼の斷食 第四十一話果實賣の乙女 第四十二話月の中の兎 第四十三話臆病兎 第四十四話托鉢僧と羊 第四十五話歌に救はれた命 第四十六話ガルダ鳥 第四十七話欺し比べ 第四十八話花の香盜人 第四十九話惡友の災 第五十話婆羅門僧と蛇 第五十一話猿の橋 第五十二話豺の言葉 第五十三話鬼の贈物 第五十四話賢い山羊 豺の夫婦が賢い山羊を喰おうと葬儀を頼む。 死んだふりを見破られ上手くいかないが執拗に言い寄る。 それなら犬を連れて行くと言われて仰天。 第五十五話穴二つ 第五十六話十人王子の最後 第五十七話動く藁履 第五十八話無實の罪 第五十九話呪文の力 第六十話黄色い男の人柱 第六十一話友達の力 第六十二話笑はぬ王子 第六十三話目のお布施 第六十四話酒の災 第六十五話三羽の賢い鳥 公園の樹木に巣が3ツ。見ると卵があった。 王には子が無く、これを子供にすると。 賢者によれば、それぞれ梟、郭公、鸚鵡。 家来は、鳥を王子や姫として扱い続ける王の態度を笑った。 そこで、それらの鳥の賢さを見せつけ、重役にとりたてた。 第六十六話醜い王さま 第六十七話いろんな問題 (C) 2019 RandDManagement.com →HOME |