→INDEX ■■■ 今昔物語集の由来 [2020.2.10] ■■■ [附 6] インドライオン観察記 動物の生態を、ヒトと同じように、観察したことがないとどうしてもこうなる。「酉陽雑俎」を眺めていて、そのことをつくつく感じた。動物愛護とか、輪廻により畜生転生とか云う思想の影響を排除し、実際にどのような生活を送っているかを自分の頭で判断するだけのこと。 百獣の王らしき威厳があるとされるが、その意味は曖昧である。肉食狩猟動物として最大の体躯ということと、獲物を横取りされることもあるといったシーンからすればもっともに見える。 その"力"を示すのは、鬣を持ち、巨大な唸り声をあげる牡ということになっているが、よく知られるように牡は狩をしないし、縄張りの競争相手が登場しない限り普段は寝そべっているだけ。 それが果たして"王"に値するものかという疑問が生まれてもおかしくなかろう。 しかし、我々が映像で見ているのは昼間だけ。 牡の役割はもっぱら夜である。夜行性の肉食動物に寝込みを襲われれば、ひとたまりもないから牡ライオンは一晩中寝ずの番をせざるを得ない。そのため、餌は好きなだけ優先的に喰らうし、昼間はなにもしないということ。 ライオンは猫系統の一族であるが、単独生活者ではなく、一家郎等の世帯構成で生き抜くが、そこにはそんな役割の牡は一頭だけである。 従って、みかけはリーダーだが、牝集団からしてみれば、雇われ夜警と子種提供者以上ではなく、能力が落ちたと見れば即お払い箱。もちろん、より魅力的な牡が来れば喜んで迎えることになる。 一夫多妻制が、必ずしも夫優位とは限らないということでもある。 要するに、ライオンの家族は女御島的に生活しているのである。 これが、ライオンの生き様であるが、それでは情なき功利だけで生きているかといえば、そういう風には見えない。そこらは、ヒトと同じことで、ずる賢く立ち回る者もいえれば、合理主義者も。なかには、情にほだされがちの者もいる訳だ。 (C) 2020 RandDManagement.com →HOME |