→INDEX

■■■ 今昔物語集の由来 [2019.8.12] ■■■
[43] 漢詩集
【本朝世俗部】巻二十四本朝 付世俗(芸能譚 術譚)には、数は僅かだが、#26〜30譚に漢詩が所収されているので見ておこう。
和歌集と違って、半ば冗談のような箇所に映る。
[巻二十四#26] 村上天皇与菅原文時作詩給語
どちらが優れているかと問われてもネ〜。
 「宮の鶯暁に囀る」 御製
露濃緩語園花底 月落高歌御柳陰
 「同上」 菅原文時
西楼月落花間曲 中殿灯残竹裏声
[巻二十四#27] 大江朝綱家尼直詩読語
白楽天は人気。小生は、ひとえに解り易いからと睨んでいるが。
しかし多作であり、人々の記憶は曖昧である。
 「八月十五日」非 白居易
踏沙披練立清秋 月上長安百尺楼

白楽天好きなら、ソリャー、東鄰起樓高百尺と違うかと感じておかしくなかろう。
感覚的には、清明秋誘人登上 月下長安百尺楼ですナ。

[巻二十四#28] 天神御製詩読示人夢給語
マ、覚えられなくて当然でしょう。白楽天も知らないといけないし。
 「読楽天北窓三友詩」 天神(菅原道真)@「菅家後集」
白氏洛中集十巻 中有北窓三友詩
一友弾琴一友酒 酒之与琴吾不知
吾雖不知能得意 既云得意無所疑
酒何以成麹和水 琴何以成桐播絲
不須一曲煩用手 何必十分便開眉
雖然二者交情浅 好去我今苦拝辞
詩友独留真死友 父祖子孫久要期
只嫌吟詠渉歌唱 不発于声心以思
身多忌諱無新意 口有文章摘古詩
古詩何処閑抄出 官舎三間白茅茨
開方雖窄南北定 結宇雖疎戸
自然屋有北窓在 適来良友穏相依
無酒無琴何物足 紫燕之雛黄雀児
燕雀殊種遂生一 雌雄擁護逓扶持
馴狎焼香散華処 不違念仏読経時
応感不嫌又不厭 且知無害亦無機
喃喃嘖嘖如含語 一蟲一粒不致飢
彼是微禽我儒者 而我不如彼多慈
尚書右丞旧提印 吏部良中新著緋
侍中含香忽下殿 秀才翫筆尚垂帷
自従勅使駈将去 父子一時五處離
口不能言眼中血 俯仰天神與地祇

東行西行雲眇々 二月三月日遅々
重關警固知聞断 単寝辛酸夢見稀
山河矣随行隔 風景黯然在路移
平到謫所誰与食 生及秋風定無衣
古之三友一生楽 今之三友一生悲
古不同今今異古 一悲一楽志所之


[巻二十四#29] 藤原資業作詩義忠難語
斉信民部卿大納言が、文章博士 藤原資業の詩を贔屓していると、博士の藤原義忠が藤原頼通に文句。民部卿が怒ったので、謹慎を喰らう。
蟄居が解けたので、和歌を奉じるがおとさたなし。
 アヲヤギノ イロノイトニテ ムスビテシ
  ウラミヲトカデ 春ノクレヌル

この譚では、漢詩は全く収録されていない。

[巻二十四#30] 藤原為時作詩任越前守語
年中恒例の諸官任命(除目)で、藤原為時は国司に空席無しで起用されなかった。
そこで、翌年の修正時に詩を天皇に奉じて誓願するも、見てもらう機会を失していた。
そのため、関白道長が為時起用を奏上しても無視されてしまった。どういうことか、女房に確認させると、誓願を御覧になっていない、と。探し出し、早速天皇にお見せに。
関白、為時を越後守に。そのポストは乳母子の国盛に予定されていたのだが。
その詩とは、・・・
苦学寒夜紅涙霑襟 除目後朝蒼天在眼


 (C) 2019 RandDManagement.com    →HOME