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■■■ 今昔物語集の由来 [2019.12.31] ■■■
[184] 猫嫌い
🐈猫譚というほどのものではないが、その手の話は取り上げた。[→元旦に猫登場]

ただ、猫嫌いの男を出汁にした滑稽話もあるので眺めておこう。現代用語では、"嫌い"という言葉ではなく、猫"恐怖症"AILUROPHOBIAと呼んでかまわないレベルに記載されてはいるものの、おそらくそこまでではないだろう。
仏教の観念からすると、前世が鼠だったから、猫を畏れるのだろうとなる。

確かに、生まれつき猫が嫌いの人はいるようだ。赤ん坊の時に悪さされたからではないかという気もするが、よくわからない。
飼い猫で懐いている筈なのに、ひっかくこともあり、甘えているだけの動物ではなく、その本性は極めてわかりずらい。マ、だからこそ個性があって面白い訳だが、その手の体質に堪えられぬ人がいておかしくはない。

小生が見るに、猫は、猫大嫌いと思しき人は危険なので避けるが、単に苦手というレベルだと、眼を合わせようとはしないから、好奇心旺盛だと陰から近寄ってくる。我慢していると、さらに体をくっつけたり。嫌いな人にとっては実に厄介な動物である。
  【本朝世俗部】巻二十八本朝 付世俗(滑稽譚)
  [巻二十八#31]大蔵大夫藤原清廉怖猫語
 藤原清廉は官人だったので、功労により"クラス"。
 山城、大和、伊賀に田を沢山持っていて富裕そのもの。
 手出しが難しいので、租税を逃れて来た。
 大和守 藤原輔公朝臣はなんとしても取りたてるべく決心。
 ある日のこと、清廉が用事で訪れて来た。
 国守は歓待する風情で、侍の宿直壺屋へ案内させる。
 「大蔵の大夫との折角の機会である。
  内々でのお話したきことあり。」と言い、
 密室化する。
 色々、公のことを話してから
 「実はですな、
  税がをお支払い頂きたく。」と切り出す。
 「マ、帰りまして調べて、月内には必ず、・・・」と
 何時も通りの対応。
 今迄の国司のように侮るでない。
 この場で家に支払い命令書を書けと言うが、
 従う訳もない。
 そこで、国司気色ばみ、大声で男を呼ぶと、
 戸が開いて、
 1尺もの灰毛斑で眼は赤く琥珀のような猫が入れられ大声で鳴き、
 さらに次々と。総勢5匹に。
 猫嫌いの清廉、お粒の涙を流し、とても耐えらぬ様子に。
 取り立てに応じるしかなくなったのである。
 その後、これはけしからんと訴えたが、笑われただけ。


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