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■■■ 今昔物語集の由来 [2020.8.17] ■■■
[414] 百丈石卒堵婆
卒堵婆供養の善行と、殺人(未遂)という悪行の、バランス勘定は一体どうなるのでしょうかネ、というお話が収載されている。
マ、例外もあるが、概して、国王のすることであり、そんなものではなかろうか、という手のお話。
  【震旦部】巻十震旦 付国史(奇異譚[史書・小説])
  《28-35 国王》
  [巻十#35] 国王造百丈石卒堵婆擬殺工語
 石工に百丈の石に卒堵婆を造らせた。
 完成したので、
 石工は起塔したい他国で同じ様に造ることになろう。
 国王は、そう思うと、今のうちに石工を殺そうと決めた。
 石工が卒堵婆の上に居る時、
 降下用の麻縄柱を一時にハラハラと壊してしまった。
 地上には声も届かず、よく見えない状況なので
 石工はどうにも手の打ちようがない。
 妻子もやって来たが、廻るだけで、どうにもならない。
 ところが、上から降りている極く細糸が
 風に吹かれていることに気付いた。
 石工が着衣を解いて糸にしたのである。
 そこで、その糸を揺らすと、上から応答。
 早速、家から細糸を持って来て、結び付け、
 上に引き上げさせた。
 その手で、順繰りに、太くして、縄を上げることに成功。
 石工は見事降りることができ、逃げ去ったのである。


すでに述べたように、このグループのお話は、時代、場所、国王名が全くわからない。と言うか、震旦史とは、それで十分ということ。詳細に記されているから事実という訳でなく、不詳だらけの話の方が、真実を読み取れることが多いと語っているようなもの。

従って、ここでは、本朝の五重塔とは違い、天に聳えるがごとくの仏塔を次々と建造した震旦の様子に触れておこうと考えたのでは。
震旦に仏塔譚はあるものの、平然と破壊はするは、収容している天竺渡来の経典等々も廃棄するはの、本朝からすればトンデモない社会風土。そこで、国王譚として収載したのだと見る。
仏塔を建造したからといっても、必ずしも、それを大切に思っているようにも思えないという評価ということ。

実際、国富を増やすことになるインターナショナルな交易を、スムースに行う上では、寺院と僧が不可欠。そのため、仏教庇護政策が採択されただけ、と見なすこともできるのである。
歴史の見方はいかようにも。

尚、卒堵婆/卒塔婆だが、仏舎利塔のことで、天竺の原形は土饅頭上に塔を築いたもの。もちろん、ここでの"そとば"はそれとは違うし 現代日本の板塔婆や石製五輪塔のことでもない。土石・製の高い塔で浮圖(塔)[=仏塔]と呼ばれることが多い。

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