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■■■ 今昔物語集の由来 [2020.9.18] ■■■
[446] まさか?!
小生が【震旦部】で、特に不思議に思っていることは、巻十 震旦 付国史に父親の首を斬って逃げる盗人譚を組み入れていること。

孝子とはどのような思想を指すか、問題提起したいなら、"孝養"談義のネタとして、そちらの巻に持って行くのが当然と考えるからだ。

特に、特異な印象を与える話なので尚更。
  【震旦部】巻十震旦 付国史(奇異譚[史書・小説])📖「注好選」依存
  《28-35 国王》
  [巻十#32] 震旦盗人入国王倉盗財殺父語
  ⇒「注好選」上89殺父頸孝子

読めばすぐ気付くが、その風習から見て、これが震旦での話の筈がない。普通に考えれば、天竺だ。
さらに、主人公が独特。
国王の蔵を狙うのは、無名の盗人親子。その王にも特段の特徴が無い。およそ国の歴史に関係する人達であるとは思えない。
と言って、冗談話とも思えない。

どういうつもりで、このような話をこの箇所に組み入れたのかさっぱりわからない。

ともあれ、話の内容は読者をギョギョッとさせるもの。身元が分からぬよう父の首を切断して頭だけ持ち去るというのだから。

しかしながら、「今昔物語集」が文明開化期成立なら、編纂者は物知り博士ですナ程度で一件落着なのである。
そんなことはありえまい、とは思うものの、否定する根拠もないので、一応、触れておくことにした。国史の譚であることだし。・・・
  ⇒ヘロドトス:「歴史」II Euterpe Chapter 121; King Rhampsinit & the story of the clever thief
 エジプト王ランプシニトス(=ラムセスIII)は銀蔵を造った。
 建造した石工は壁に細工を施しており、
 臨終の際、息子兄弟に宝を盗む方法を教える。
 そこで、兄弟は、
 上首尾に密かに侵入し続けた。
 流石に、王も財宝減少に気付き罠を仕掛けた。
 その罠にかかった兄は、
 自分の首を斬って逃げるように弟に言う。
 弟はそれに従って逃亡。
 王は、死体を晒しものにして悲しむ者を捕らえる算段。
 母親は遺体を取り返せないなら、王に言うぞ、と。
 そこで、番人を酔わせてまんまと死体を運び去ってしまう。

<話はここで終わらない。>
 王は怒りが収まらない。
 そこで一策。
 人を騙し、とてつもない悪さをしたことを告白した者には、
 王女にお相手をさせるとの宣旨を出したのである。
 もちろん、男と寝たら、その手を掴んでしまえ、と王女に含んで。
 盗人、そんなこと、百も承知で出かける。
 男が白状したので、王女は早速に手を掴んで放さず、人を呼ぶ。
 ところが、その手はそこらの死体から取ってきたものだった。

<話はここでも終わらない。>
 王は知恵比べに負けたことを悟り、
 出頭すれば無罪放免、褒美を取らすとお触れを出した。
 盗人出頭。

<"知恵ある盗人譚"ではなく、
 知恵ある者が国を治める話なのだ。>
 王は、我々は、知恵ある民族だが、
 そのなかでも、ずば抜けていると誉め、
 王女を娶わせ、褒美を与えた。


「今昔物語集」と、ヘロドトスのお話と、どこが違うか気になる方はご自分で味わってみたら如何かと。

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