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2003.1.11
 
 


手賀沼の水質改善進捗状況…

 2003年の年賀状に「年頭に良いお知らせ」とあったが、個人生活の話しではなかった。
 「日本一の汚染湖沼と言われていた手賀沼が、ついにその汚名を返上しました。27年間続けてきた日本一という地位を、昨年やっと静岡県の佐鳴湖にゆずることができたのです。」(山極圭司「おとづれ」40号)

 このランキングは、環境省が2003年1月に発表した湖沼水質調査結果のことである。
 毎年、COD値(1リットル当りの化学的酸素要求ミリグラム量)のワースト5が発表されるのだ。今回は、1位が佐鳴湖の12、次が手賀沼11、印旛沼9.5、春採湖(北海道)9.2、伊豆沼(宮城県)八郎湖(秋田県)油ケ淵(愛知県)8.8と続く。(http://www.env.go.jp/water/suiiki_h13/03.pdf)

 千葉県は、1985年に指定されてから、湖沼浄化に取り組んだ。(http://www.pref.chiba.jp/syozoku/e_suiho/8_kosyo/8_2keikaku/8_keikaku-tega.html)

計画
1985 「湖沼水質保全特別措置法」の指定湖沼
1985-1889 「湖沼水質保全計画」
1890-1995 「湖沼水質保全第二期計画」
1996-2000 「湖沼水質保全第三期計画」
2001-2005v 「湖沼水質保全第四期計画」
 国の環境基準は5だが、1979年には28だったというから、とてつもない挑戦課題だったといえよう。
 1995年度のCOD25を2000年度に15に下げることに成功した。
 ところが、2000年時点の計画は、15を13にするのが2005年になっている。
 従って、最悪1位からの脱却は2010年頃になると見られていた。予想より水質向上対策の効果があがったのである。(平均は11だが、ベスト値は4.3)

 この間に行われた施策は、排水浄化(下水道/市街地排水路と浄化施設、家庭雑排水処理場)、湖沼浄化装置試験(礫間浄化施設)、汚染物除去(汚泥浚渫、アオコ分離脱水、ホテイアオイの植栽)、流水導入(北千葉導水事業)と、多岐にわたっている。できそうなことは、ほとんど試したのではあるまいか。
 時間とコストはかかったが、本気で対応すれば環境改善はできることが示されたといえよう。

 しかし、手賀沼の今回の改善は、利根川からの浄化用水導入が奏功したといえる。最悪状況から15程度までは、排水浄化策でなんとか低下できるようだが、その先は停滞水をなくす策しか顕著な効果は得られない、と言えそうだ。
 ということは、印旛沼のような停留している湖沼の改善は難しいことが予想される。これからの焦点は、印旛沼に移ることになろう。


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