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2003.9.12
 
 


日本のゴミ処理技術(2:燃料化)…

 ゴミの燃料化技術が開発されている。「素晴らしい技術開発」とのトーンで紹介されることも多い。

 その典型は廃プラスチックの油化、あるいはガス化技術だ。

 例えば、発泡スチロールばかりのゴミを集めることができるなら、この技術を活かすことができる。それほど難しい技術ではない。こうしたゴミは嵩張るから、処理技術は魅力的なのだが、そうした方向に動く気配は無い。収集コストがかかりすぎるからだ。
 それなら、類似の技術で、プラスチックだけを収集した油化技術の開発が進むと考えがちだが、こちらの動きも弱い。基本技術があっても、現実適用はほとんど進まない。塩化ビニルや金属が混入する可能性があり、燃料化処理をすると、危険物質発生の可能性があることが理由とされている。しかし、現実には、生産した燃料利用についての利害関係が錯綜しているから、現実適用を避けているように見える。

 ガス化としては、メタン発酵もよく話題になる。理屈からいえば、空気を遮断して、有機物を発酵させればメタンが発生する。実際、生ゴミからのメタンガス生産は難しくない。
 しかし、所定条件内に収まる有機物だけ、というゴミは例外的である。安心して運営できそうな原料ゴミは、農業生産物や家庭のし尿位だろう。ということは、ゴミ処理目的というより、農家支援事業の一つと言えそうだ。

 要するに、油化やガス化は、話題性はあるが、雑多なゴミの非分別収集を続ける限り、実践性は薄いのである。
 固体燃料化でも同じことが言えよう。しかも、ガスや油と違い、固体の場合、対応する燃焼装置が必要となる。魅力はさらに薄くなる。
 そうなると、固体燃料の技術開発は低調と思いがちだが、良く見ると、逆である。固体燃料利用の試みは結構行われている。

 その代表選手が、RDF(Refuse Derived Fuel)である。
 先日、大事故を起こした三重県の発電事業に用いられていた燃料である。

 この燃料は、ゴミを粉砕・乾燥させた後に、不燃物類を除去し、圧縮成形しただけのものである。成形物だから、輸送や保存が簡単にできるから、極めて便利である。
 しかし、有機物が含まれているから、腐敗・発酵が進みやすい。そのため、発酵防止剤を添加は必須条件だ。一見簡単に生産できそうな燃料だが、ゴミの内容がよくわからないから、発酵防止が上手くいくとは限らない。
 このような、品質保証しがたい燃料は、本来使うべきでない。

 RDFは筋が悪い技術だが、腐敗・発酵問題が発生しない原料での燃料化なら、問題はない。
 再生不能の紙と塩化ビニルを除外したプラスチックを原料にすればよいのだ。当然だが、こちらは、RPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)として、製紙/パルプや製鉄で燃料に使われている。

 しかし、再生不能の紙と塩化ビニルを除外したプラスチックだけのゴミを収集しようとの動きは無い。RPF化は進まない。

 この他の燃料化技術としては、熱分解炭化があげられる。ゴミを熱分解し、ガスを放出させ、残った炭化物質を取り出すことになる。これなら、燃料としてどこでも使える。しかし、現在のところ、低コスト大量処理に向くような熱分解炉は無い。

 ・・・と順に見ていくと、ゴミの分別収集をしない限り、ゴミの燃料化は望み薄であることがわかる。


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