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2003.9.14
 
 


日本のゴミ処理技術(4:ゴミ発電)…

 ゴミ焼却熱を電力に変換する方法は昔から行われている。ゴミの厳格な分別収集を行わない現行の仕組みを前提にするなら、焼却処分を主体に進めるしかないから、政府も積極導入方針を採用している。

 しかし、発電所として見ると、投資の意味があるか、疑問を感じるほど変換効率は低い。事業所の発電タービンは普通は40%程度だと思うが、コミ焼却場の発電システムは10%台だ。

 どう見ても、発電効率向上は最重要課題の1つである。

 すでに、発電施設数も最近は頭打ち状態だ。
 自家発電の管理は面倒であるし、中規模焼却場では、この効率では意味が薄いから致し方あるまい。しかも、管理不充分な発電所からの電力を加えることは、電力網安定性が低下することを意味する。従来型の低効率発電は避けるべきだろう。
 (http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/img/214/fb1.3.2.1.gif)

 しかし、高効率な発電が可能なら、魅力的なコンセプトである。都会のコミ処理場で発電できれば、送電ロスも少ないからである。

 問題は、これに応える技術があるかだ。
 理論的には、ゴミ焼却の侵食性ガスに耐えられる材料が登場すれば、問題はすぐに解決できるが、どう考えても、そのような材料が安価に提供できるとは思えない。
 従って、現段階では、高効率化技術としては、ガスタービン・リパワーリング発電(スーパーごみ発電)だけ、と言う説には説得性がある。

 ガスタービンからの高温排気で、ゴミ焼却熱ボイラーからの発生蒸気を加熱し、効率向上を図る技術だ。ボイラー温度を上げる訳ではないから、施設は短寿命化せず、発電効率が飛躍的に高まる仕掛けだから、特段の新しい技術が無い、組み合わせの妙を狙うものである。
 すでに実システムが稼動しており、その高効率性は広く喧伝されている。
 (http://www.city.kitakyushu.jp/~k2602010/sesaku/gomi.html)

 しかし、この技術が本当に優れているかは、判然としない。例えば、従来型より効率で10%以上向上した、といった説明がなされているからだ。
 一般に、このような示し方の技術成果は、「要注意」である。

 理屈から言って、リパワーリングで効率が向上するのは当たり前だ。
 重要なのは、向上が妥当なレベルに達しているかである。従来型の効率限界や、リパワーリングの最高効率が示されなければ、優れた施設かは、わからない。

 常識で考えれば、最高性能が発揮できる設備の条件がある筈だ。ゴミの焼却量(発生熱量)と、それに対応するボイラとガスタービンの仕様によって、効率は変わるからだ。
 この数字が分かって、始めて最善の仕様が決まる。

 こうした前提条件が分かった上で設備が作られているのかは、よくわからない。
 もしかすると、ごみ焼却量の要求に合わせて、ご都合主義的な設計で作られた施設かもしれない。


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