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2004.6.16 |
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エコタウンの転回点…
(その後岡山県が加わり20地域になる。) エコタウン事業は、ゼロ・エミッション構想のもと、 1. 個々の地域におけるこれまでの産業蓄積を活かした 環境産業の振興を通じた地域振興 2. 地域における資源循環型社会の構築を目指した 産業、公共部門、消費者を包含した総合的な環境調和型システムの構築 を目的として行われており、計画承認を受けると、施設整備費補助金や地域振興事業費補助金が受けられる。(2) 2004年度の事業では、1地域のプランに対して、ハードは1事業3〜5億円の補助金を3〜5事業に、ソフトは1件当り300〜500万円の補助金が20〜30件を交付する予定だ。 この先、エコ事業が上手く進むと言えるのか、はっきりしない段階にもかかわらず、さらに地域を拡大するつもりのようである。 相変わらずの、「国土の均衡ある発展路線」と言えそうだ。この路線を採用すれば、似たようなものが、各地に出現し、互いに競争し合うことになる。おそらく、失敗に向かって邁進することになろう。 ・・・と考えるのは、このような事業が計画通り進んでいるとは考えにくいからだ。
補助金を獲得しようと考えれば、収益性を示す必要があるから、2割程度の利益を出す薔薇色の計画を作ることになろう。しかし、計画通り進むとは思えない。おそらく売上未達の事業が多いと思う。売上が計画の6割程度でもおかしくない。当然、不安定な経営状況に陥る。 ビジネスマンなら、この状況を見たら、即座に将来性の再確認作業に入る。そして、撤退か、抜本的な梃入れを始めるのが普通である。 常識で考えれば、地域拡大など、最悪の方針に映る。 そもそも、エコタウンといえば美しい名称だが、あくまでも「地域振興」事業の1つに過ぎない。地方にとっては、未利用土地の活用とハコもの作りのチャンスでもある。地域を広げれば、初期の目論みとは異なる動きを助長させるのは間違いないのだ。 今、問われているのは、エコタウンの数ではない。本当に事業として成立するのか、はっきりさせることだろう。 はっきりしないうちに市場競争させれば、下手をすれば全滅しかねまい。 もともと、リサイクルビジネスは簡単にできる筈がないのである。 と言うのは、廃棄物の収集の仕組みが不完全なままだからである。普通なら、原料調達が不安定な事業への投資は避ける。まともな稼動ができない可能性が高いからだ。つまり、極めてリスクの高い事業を進めているのだ。 しかも、いまもって、量を確保できるのか疑問な事業が多い。原料価格や質の問題以前の状態である。なかには、上手く収集できているものもあるそうだが、その地域しか適用できない仕組みだったりする。事業拡大はできないのである さらに、処理後の製品のはけ口も本当にあるのか、疑問である。 リサイクル産業振興なら、立派な製造施設建設への補助金より、リサイクル製品への補助金による市場拡大策の方が効果的だと思うが、そのような話しは聞かない。 市場開拓費用ゼロで大型事業を立ち上げることになるのだから、ビジネスマンなら背筋が凍るような事業企画である。とてつもない労苦が待っている訳だ。 要するに、バージン製品産業に影響を与えたくないのである。裏を返せば、リサイクル産業に伸びて欲しくないということに他ならない。 このことは、ほとんどのリサイクル製品産業の競争力向上は望み薄、というこだ。 といって、廃棄物処理産業は不可欠なのだから、リサイクル製品事業は海外に頼らざるをえまい。 そのような方向に進むなら、国内のエコタウンは、処理技術開発のマザー工場群としての位置付けになろう。その技術をもとにした、低コストオペレーションの大型処理施設を海外に構築するしかない。 従って、海外への運搬インフラ構築と、それに上手く繋がる廃棄物収集の仕組み作りが重要課題といえよう。 このシナリオが妥当なら、エコタウンの全国展開は無駄な投資ということになる。 --- 参照 --- (1) http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/kankyo/recycle/20040315ecotown_koubo.pdf (2) http://www.meti.go.jp/topic/data/e10209aj.html (3) http://www.meti.go.jp/topic/downloadfiles/e10209cj.pdf 環境問題の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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