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2004.10.13
 
 


火山観測技術の遅れ…

 2004年9月1日20時02分ごろ浅間火山山頂火口から爆発的な噴火が発生した。突然の話である。(1)

 「24時間態勢で火山性地震や地殻変動を観測している。だが最近は、噴火の前兆をとらえにくい火山になっていた。」そうだ。(2)

 予知は全く機能しなかったといえる。
 「やや活発な火山活動」とされていたのが、この噴火後に「特に活動が活発な火山」に、指定が格上げになった位である。

 浅間火山観測所の歴史は古い。峰の茶屋に設立されたのは1933年だという。
 火山性地震を見分けることができるようになったことで有名な観測所である。「浅間山は噴火に先立って山頂付近の浅い場所で地震が多発」と見抜いた訳だ。

 このため、山頂火口を囲む12台と、火口の北20kmの1台のテレメーターがデータを収集している。(3)
 ところが、今は、この測定では何もわからないのである。「前兆がはっきりしない噴火が多くなった。」そうだ。
 要するに、現行の測定体制ではどうにもならないのだ。
 では、どうするのだ、とたずねてはいけないようだ。タブーなのだろう。予知できないことはわかっていたにもかかわらず、体制変更の提案もないようだ。
 体制を壊す輩は排除されるのだろうか。

 測地や振動のデータを、細かく収集すれば、価値ある情報が得られることはよく知られている。IT技術の進歩を取り入れて、測定点を拡大して、情報解析を行うべきだと思うのだが、そのような動きを聞いたことがない。

 そもそも、地震や火山の研究では、測地学的分析の有用性ははっきりしている。
 しかし、神戸地震のようにマグニチュード7程度で震源域が狭いものは、現状の測定システムでは、震源域での測定点は1〜2点か含まれないという。この状態で研究しても、たいした成果は得られないのは当然だろう。(4)

 とはいえ、膨大な数の測定点を確保すれば、そのコストも膨大とならざるを得ない。避けるべき施策と言えよう。

 このような場合、とるべき道は2つある。

 1. 狭い地域で、多数の測定点を設置して、先行技術開発を進める。
 2. 膨大な数のセンサーを設置できるように、激安センサーとその運営システムを開発する。

 日本では、どちらを選択するのかは予想がつく。
 間違いなく前者である。

 多くの場合、地震学者はITの最新技術スキルを欠くため、後者の計画立案ができかねるからだ。

 その結果、測定点を増やすための予算獲得に力が注がれる。
 「特に活動が活発な火山」は浅間山以外に12もある。おそらく、測定地域どうしで取りあうか、皆で平等に分けあうことになろう。指定されていなかった浅間山に予算が回ることなどあるまい。
 実に、不毛なやり方である。

 本来は、両者を統合したやり方が望ましい。
 そして、浅間山のように、かつては当たっていた火山で精密検討するべきだろう。従来理論の問題点がはっきりする可能性が高いからだ。

 もっとも、最初に手をつける対象は、浅間山である必要はない。
 最初に手をつけたから、成果一番のりとは限らないからだ。

 IT関連技術は日進月歩であり、機器・部品のコスト低下スピードは激しい。コストが一気に10分の1や100分の1になっても驚きではない。後発は、先発の教訓を生かせる上に、低コストでの研究ができることが多い。
 従って、後発の方が成果を先に得られるかもしれない。予算獲得競争を、政治力で勝つだけでは、成果を先にあげることができる保証などない。ITをどう利用するかの知恵で勝負がつくのだ。少額予算の、後発研究者が大きな成果をあげる可能性さえある。
 この分野の科学技術を発展させたければ、先ずは、ITスキルを持つ地震学者に、率先して挑戦させるべきなのである。

 ・・・と主張すると、たいていは素人考えと見なされる。

 しかし、すでに、安価なセンサーの仕組みでの挑戦は始まっているのだ。

 例えば、乾電池駆動の、8ビットマイコン+4KBメモリーに無線デバイスを取り付けただけの安価なセンサーがすでに開発されている。GPSでタイミングをあわせることができるという。(5)

 無線デバイスも安価になったから、秋葉原に通えば、作れそうに見える装置である。マニアに頼めば、喜んで、徹夜作業を続けて、なんとか作ってくれそうな代物にも思える。本来なら、日本が得意な領域だと思う。
 にもかかわらず、日本では、さっぱり、このような動きが聞こえてこない。不思議である。

 火山と地震研究では、日本は世界の先頭を走っていると称しているが、部外者からみれば、このような挑戦こそファーストランナーの要件だと思うのだが。

 --- 参照 ---
(1) http://www.jma.go.jp/JMA_HP/jma/press/0409/01b/asamayama1.pdf
(2) http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20040903k0000m040114000c.html
(3) http://hakone.eri.u-tokyo.ac.jp/vrc/others/asamaj.html
(4) http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/KOHO/KOHO/backnumber/23/23-2.html
(5) http://www.eecs.harvard.edu/~werner/projects/volcano/


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