↑ トップ頁へ

2006.5.30
 
 


里山ビジネスへの期待…

 本の虫が読む新刊書ニュース小冊子の巻頭に、構造主義生物学者、池田清彦氏のエッセー(1)が掲載されていた。
 難しい話が多い冊子なので、滅多に目を通さないのだが、題名に惹かれてつい読んでしまった。

 クワガタがお好きな先生かな、などと推測しているうちに読み終わってしまった。僅か2ページなのだから、あっという間である。

 エコ話は、倫理と道徳ばかりで、読む気がしないものが多いが、これは全く違った。

 内容は単純明快。
 勝手に、話をつくり変えると、こういうことである。

 都会の周囲が大きく変わり、棲んでいた昆虫もいなくなってきた。昆虫好きでなくとも、誰でも寂しかろう。
 そこで、自然を守れとの声が高まる。
 お蔭で、役所がお金をかけて多少のことはするが、その程度でなんとかなるものではなない。従って、後は、環境保護運動の皆さん、なんとかお願い、というのが現実である。
 しかし、ボランティアで頑張る人が続出しても、流れは変わるまい。自然は消えていく。

 そのため、危機感を持って、環境保護運動への参加を呼びかけたり、環境保護意識高揚の重要性を説く学者が続出する。
 環境保護運動を支援する企業もポツポツ出てきた。

 問題は、これをどう見るかである。

 こうした保護運動の心根はわからないではない。
 しかし、時間と労力を割いて、環境が守れるないなら、力を入れても無駄ではないか。もっとやり方があるのでは。

 ・・・などと考えていても、この領域ではビジネスマンは発言しない。金儲けの輩がいるから、環境が悪化するのだと叩かれるに決まっているからである。

 ところが、ついに学者のなかから、自然保護を商売にしたらどうかとの意見が登場した。大賛成である。これこそ、一番実践的な方法だと思う。

 里山を維持する費用は膨大である。こんなものに税金をつぎ込んだら大変なことになる。
 しかし、里山で楽しむ人達からお金を頂戴し、ビジネスにすることができれば、昔からの環境は維持できるのである。昆虫も販売すればよい。

 このような意見に、聞く耳を持つ人が何人いるだろうか。

 “資本主義の社会を動かすには、欲望を拡充する必要がある。しかし、資源の問題から言っても無理なのは明か。デッドロックに乗り上げているのに、もっと欲望を増加させようというキャナライゼーション(運河化)が進みつつある。それになんとか対抗するには、倫理と道徳を持し出しても無理だよ。”(2)

 その通りである。

 --- 参照 ---
(1) 池田清彦「自然保護を商売にするという発想」人文会ニュース98号 2006年4月
  http://www.jinbunkai.com/html/ti_osirase_syo.php?info_id=38
(2) http://www.mammo.tv/interview/123_IkedaK/2.html

(里山維持とは)
放置すると, 遷移が進み, 常緑広葉樹林に変わってしまう.
これを伐採し, 落葉広葉樹林にする.
地面は腐葉土化し, 多種の昆虫が棲めるようになる.


 環境問題の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2006 RandDManagement.com