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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2016.3.29 ■■■

食材一覧

「卷七 酒食」から、食をどのようにみているか、素材を眺めてみたい。

全くわからない食材が並ぶので、今村与志雄の丁寧な"注"を参考にしながら整理してみることにした。尚、素人が勝手に解釈して書いているにすぎないので、信用しないこと。

材料に入る前に、味についての、感覚表現を見ておく必要があるので、簡単に触れておこう。
<"塩梅">
甘而不,酸而不酷,鹹而不減,辛而不烈,淡而不薄,肥而不腴。
中庸がよいということ。

<"味覚">
五味、
上記からすると、甘酸鹹辛と淡肥になるが、前者の4味に大人の味である「苦」を加えたものというのが、常識的だろう。
三材、
水木火なのだそうだが、木火は材とは言い難い。水油脂と考えた方がよいのでは。
九沸、九變、
沸騰に至る加熱レベルは無限であり、同様に加熱による変性も無限。火加減でいかようにもなる。
𦵔、七
塩漬と酢漬を指すようである。
  蕪菁、菘、葵、蜀芥鹹𦵔
  _𦼬𧂚𦵔𦯓𧀽《齊民要術 卷九》
  、菁、茆、芹、筍《周禮 天官冢宰 醢人》
具酸、楚酪、
黒酢と乳清あるいはヨーグルトか。
芍藥之
(魚、卵、芍藥、菜、果、等々)の代表か。
秋黄之蘇、
古代日本では乳加工製品だが、秋に黄変した草ではないか。
楚苗、挫槽、山膚太(一雲大)苦。
緑のスプラウト、酒粕的なもの、樹木皮と見た。

以上は、主菜ではなく、あくまでも調味的要素が強いものであり、ここからは主菜になりうる食材。

<料理("素材")>
猩唇、[+]炙、翠、腴、糜腱、述蕩之、旄象之約、
美味な肉料理用の当該調理に適した部位。実に細かい指定であり、成式は贅沢な食生活を送っていたことがよくわかる。

水底棲の甲虫か。タガメかも。
石鰒、河隈之、鞏洛之鱒、洞庭之鮒、灌水之鯉(一雲)、珠翠之珍、菜黄之
鰒はアワビだろうが、他は魚。特定の産に拘ったようである。
、炮羔、雋鳧、
亀や羊の肉料理。
禦宿青祭(一雲)、瓜州紅菱、冀野之梁、
独特な風味の植物なのであろう。
芳磨A精稗、會稽之磨A不周之稻、玄山之禾、楊山之、南海之
穀類等の澱粉リッチな主食。産地ブランド品志向あり。
壽木之華、玄木之葉、夢澤之芹、具區之菁、楊樸之姜、招搖之桂、
蔬菜もブランド化していたようである。栽培技術が相当に高度化していたということか。
越酪之菌、長澤之卵、
茸と卵。
三危之露、昆侖之井、
名水があったようだ。
黄頷、醒酒鯖、
定番の酒のつまみ的肉魚系の料理か。
、寒具、
甘味粥類。
、熟蜆、
貝類はスナック的なものとされていたのかも。
𥻓子、蟹𧌊、葫精、細烏賊、細飄(一曰“魚鰾”)、
これらは、前菜であろう。
𨟹、乾栗、曲阿酒、麻酒、酒、
これらは、食前/食中酒で、や栗は酒の風味向上用なのであろう。
新鰍子、石耳、蒲葉菘、西、青根粟、鮪、𩵻、熊蒸、麻胡麥、藏支、克{筍、紫[魚+葛]、千裏宦A膾曰萬丈足、紅糸卒精細曰萬、鑿百煉、蠅首如[虫+互]、張掖九蒸
様々な逸品も。
一丈三節蔗、一一花梨、
甘味
行米、丈松、{穴羔}鰍、
ふりかけや佃煮的なものか。
、蘇膏、糖頽子、新烏𧍡
貝類の有名な料理
縹膠法、樂浪酒法、二月二日法酒、釀法、法、
醸造方法(酒や)
豬骸羹、白羹、麻羹、鴿、隔冒法、肚銅法、
スープ
炙、蜀搗炙、
焼肉
路時臘、棋臘、天臘、
ハム
細面法、飛面法、薄演法、
麺類
龍上牢丸、湯中牢丸、
蒸/水餃子
櫻桃ボ蠍餅、阿韓特餅、凡當餅、
揚げ菓子
兜豬肉、懸熟、杏炙、蛙炙、脂血、
手のこんだ肉料理
大扁𩛿、馬鞍𩛿

黄醜、白醜、
スッポン料理
白龍舍、黄龍舍、荊𩛿、竿炙、羌煮(一曰炙)、
エスニック
疏餅、糊餅。餅謂之托,或謂之。飴謂之𩜽(一曰𩜑)、飽𩜌謂之𩜼
甘味の餅

概念的分類としては10あるようだ。・・・
𩚩,茹、也。
一品料理だろうか
(一曰膜)、、脹、也。
一般的肉料理
也。
ミンチ系肉料理
、[月+賁](一日饋)。也。
熟成肉料理だろうか
[米+各]、也。
穀類調理品
𩝪也。
澱粉加工品
(醋)也。
穀類酢
酪、漿也。
乳清
𪉮𪊊𪉱也。

𨣧、[酉+兪]、𨣅𨡭也。
味噌的なもの

山海の御馳走という発想ではなさそう。肉料理に穀類が基本のようである。旨みのモトは肉ということになる。多彩な肉料理と調味料のバラエティ化が食卓の豊かさを意味していそう。

(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎 2」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.
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