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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2016.6.18 ■■■

【詭習】獺漁業

「卷五 詭習」収載の6話の最後は、【動物show】。
鵜飼ならぬ、獺[カワウソ]飼である。

動物園にいるカワウソは、たいていは小振りの小爪獺。主に東南アジアに棲息する種である。成式が引用したのも、間違いなくコレ。
唐代の頃は、中国南部に広く棲んでいた筈だし。

見かけと違い、指先に鋭い爪が出ていないので、噛みつかれなければ怪我をすることもない。そのため動物園によっては、握手させたりするから、えらい人気者だったりする。
要するに、人によく懐くタイプなのだ。家庭で飼うと、ご主人と一緒に風呂に入るほどらしい。隙間に手を突っ込みなんでも引きずり出す習性があるから、仲良く暮らすといっても限界がありそうではあるが。

ここでは、その獺を10数頭飼い馴らし、魚を獲らせている百姓の話に仕上がっている。
はたしてそんなことが獺にできるのかと半信半疑の読者が多いと思うが、実は、珍しいことではない。
現代でも、マレーシアにはまだ獺漁業が残っているとの報告書を見た覚えがあるからだ。
と言っても、観光業化すれば別だが、早晩、消え去る風習だと思われる。それよりは、獺そのものが棲めなくなっていくのが実情。

それはともかく、昔は、至るところに獺が棲んでいたのである。
そして、百姓であろうが、貴族だろうが、動物好きはいるもの。一緒の生活が長くなると、両者ともに気心が知れ、協力関係が楽しくなってくる。そんなところから、思ってもみないことができるようになる。それが、獺飼だと思う。
この例だと、老人と獺一家の間には60年来の信頼関係が構築されており、獺はすでに5代目が生まれている筈である。

元和[806-820年]末,均州郷縣有百姓,
年七十,養獺十余頭。
捕魚為業,隔日一放。
將放時,先閉於深溝鬥門内令饑,然後放之,無綱舌之勞,而獲利相若。
老人抵掌呼之,群獺皆至,縁袷藉膝,馴若守狗。
戸部郎中李福親觀之。


(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎 1」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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