表紙
目次

📖
■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2016.9.14 ■■■

謂水の谷底村

「酉陽雑俎」には、道教的な統治の秘訣が語られている。・・・

華陰縣[@陝西渭南]東七級趙村,村路因水成谷,梁之。
村人日行車過橋,橋根壞,墜車焉,村人不復收。
積三年,村正嘗夜度橋,見群小兒聚火為戲。
村正知其魅,射之,若中木聲。火即滅,啾啾曰:
 “射著我阿連頭。”
村正上縣回,尋之,見敗車輪六七片,有血,正銜其箭。

  [續集卷二 支諾皋中]
華陰県東にあり、(険しい崋山を抱える)七級趙村は謂水による侵蝕でできた谷底集落だが、橋梁があった。
村人は、日中、馬車で橋を渡っていたので、ついに、その橋の支柱の根を壊してしまい、ついに車が墜落するまでに。しかし、村人はそれを復旧させていなかった。
村長
[村正]は、夜間、橋を渡ることが度々あった。
ある晩、村長はこの橋の上で、焚火の周りで子供達が群れて戯れているのを見た。
村長はコイツ等は妖怪
[魅]と察知。すかさず矢を射たところ、樹木に当たったような音が聞こえ、焚火が消えた。
すすり泣くような声で、
 「我々の阿連の頭を射られてしまった。」
  との声が聞こえてきた。
村長は、橋の上に走り寄り、どうなっているのか調べた。
見ると、壊れた車輪の破片が六、七個あり、そのなかに、血が付着しており、まさしく箭
[=矢]が突き刺さったものがあった。

先ず、大前提として、村長は、武人として飛びぬけた力量を持っていないと駄目。勇猛で、妖怪などものともしない胆力がないと。

そのような統率者が、夜、壊れた橋を通ったら、そこで墜落した馬車の妖怪にあったが、それを退治したゾと皆に伝える訳である。
マ、どうせ、宴会でしこたま酒を飲んで酔って帰るところだと思うが。

そんな話を聞けば、ここは、橋を修繕する必要があろうという声が出ることを期待しているのであろう。

このようなリーダーシップの発揮の仕方ができないと、馬車で走る高官のためにただならない労力と金を集められたのでは、たまったものではないとの反撥をくう訳であろう。

(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

 「酉陽雑俎」の面白さの目次へ>>>    トップ頁へ>>>
 (C) 2016 RandDManagement.com