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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2016.11.3 ■■■

お寺サロンでの詩作

「寺塔記」は、長安の古寺巡礼のようなものといえばその通りだし、著名な絵画についての画論集との見方もできる。しかし、お気軽な詩作の随筆でもある。

そんな観点から、一作品をご紹介しよう。[續集卷六 寺塔記下]
"辭 「閑中好」"だが、3部作からなっている。・・・

   「閑中好」 (夢復)
閑中好,____暇なのは、これ幸い。

 盡日松為侶。_日がな一日、
________伴侶は松の木。
此趣人不知,__そんな風流の機微を、
________誰が知ろう。
 輕風度僧語。_軽やかな風も、
________やがて僧侶の言葉に聴こえてくる。

   「閑中好」 (柯古)
閑中好,____暇なのは、これ幸い。

 塵務不心。_雑務を追い払えば、
________虚栄心も消えていく。
坐對當窗木,__坐して向かい合うのは、
________窓の外の木のみ。
 看移三面陰。_眺めているのは、
________3面の蔭の移ろい。

   「閑中好」  (善繼)
閑中好,____暇なのは、これ幸い。

 幽磬度聲遲。_幽玄な磬の音も、
________やがてのんびりした調べに聞こえてくる。
卷上論題肇,__巻物を眺めていると、
________訳経のお題を論じている気分に。
 畫中僧姓支。_絵の中の僧侶が、
________翻訳で苦闘する僧侶に見えてくる。

(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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