表紙 目次 | ■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2016.12.10 ■■■ 草のホトトギス成式は、植物を見ながらの山歩きが趣味だったのでは。もちろん薬用植物採取が主目的だが。 そこで、蘭のように(トランペット状2重で花弁6枚)美しい花に出会って感激。 (棲息地:日本及び貴州, 江蘇, 広西, 江西, 湖北, 広東, 浙江, 福建, 安徽, 湖南等の高度800m〜2,400m.) 特段の道教的な意味づけもないので、そんな気分を抑え、花には全く言及せずに、葉の方をさらっと触れるに留めた一文と見た。花が咲いていない時はこんなものですヨとばかりに。・・・ 油點草,葉似莙薘,毎葉上有K點相對。 [卷十九 廣動植類之四 草篇] 油點草/杜鵑草[ほととぎす]/Toad lilyは、観賞用としてそれなりに知られているユリの一種だが、唐代はどうだったのかはよくわからない。(尚、台湾の種は、台湾油点草/山杜鵑草/Speckled toad lily。) 和名は、花の紋様が鳥の不如帰[ホトトギス]の胸の斑紋に似ていることからくる。点々がついており、それが好みなら素敵。 一方、油點草は、花の情景を無視しているのだ。どういうことか理解に苦しむ。 ユリの仲間だから、楕円形の葉の表だけは油を塗ったような感じがするだろうが、それだけのこと。黒点の存在のほどはわからぬが、どうでもよさそうに思える。不可思議な命名だ。成式先生はどう感じていたのか訊いてみたいところだ。 杜鵑草は大陸で種の分化が進んでいないようだが、日本は多いから、日本原産の比較的新しい種だったりして。 葉が似ているとしてあげられている莙薘菜は、葉用甜菜のことで、俗称牛皮菜とされているそうだ。地中海料理で使われるようだが、そんな説明ではさっぱりピンとこない。 日本では、不断草/Chardの方が通る。道の駅のようなお店で、時に見かける程度の葉野菜である。ただ、地域で呼び名は違う。 一番有名な地方名は、炒めモノ沖縄料理に使うンスナバー[味噌葉?]か。 (参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載. 「酉陽雑俎」の面白さの目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2016 RandDManagement.com |