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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2016.12.28 ■■■

烏羽玉草

仙人花と呼ばれる植物が記述されている。

その名前の割には、本名は烏蓬であり、いかにもアンバランスな感じ。・・・

烏蓬,葉如鳥翅,俗呼為仙人花。
  [卷十九 廣動植類之四 草篇]

日本で呼ぶ"黄藥子 or 銅靈仙/仙人草 or クレマチス/Clematis[栽培雑種]"とは違うようである。
この命名は、果実に白い綿毛があり仙人の鬚みたい、と言うことからだそうな。
蔓性多年草だが、有毒であるから、もともとは鑑賞用ではなく、蛆殺しに利用されていたようだ。鉄線[蔓強し]とか風車[整った花弁]という種が海外で高く評価され、先ずは海外の広い庭での花壇用定番花となったようである。

葉が鳥の羽のようだという以上の情報が無いので、どのような植物なのかわからないが、他書を見ると少し見えてくる。・・・
万連,葉如鳥翅,一名烏羽,一名鳳翼,花大者其色多紅緑,紅者紫点,緑者紺点,俗呼為仙人花,一名連纈花。
  [晋 崔豹:「古今注」卷下 草木第六]
烏蓮花細六葉,色多紅緑。---(按《古今註》---)
  [ 唐 蘇鶚:「蘇氏演義」卷下]

花の特徴からすると、いかにも愛好者が多そうな鑑賞植物とみてもよさそうな記述である。

そう考えると、これは"射干 or 蝴蝶花/檜扇[ヒオウギ]/Leopard flower or Black berry lily"の可能性が高かろう。

名称にバラバラ感があるのは、注目する部位が違うから。

黒くて丸い種子が気になれば、Black berryになる。これこそが、和歌の"ぬばたま[烏羽玉]"とも。
霊的な強さを感じさせたのであろう、と思っていたのだが、烏蓬という呼び方をするところを見ると、烏が実を啄みに来ることを言っているのではないか。
夕暮れに、この黒玉を食べ終わると、巣に帰って行くので、いかにも黒玉が烏をして太陽を牽引し夜にする感じがするということではなかろうか。

次は、花弁。
点々があるので、Leopardとなる訳だ。もちろん、その美しさを強調している訳だが。Lily、檜扇、蝴蝶花もそんな感覚。

一方、射干とは、菖蒲同様に根茎を漢方で利用することからの形状の象形的命名。(尚、射干をシャガとする記載があるが、渡来名を異なる種にあてたことによる混乱。これを避けるため、射干は弓の長竿のことなので、ヤカンと呼ぶことにしているとも。)

肝心な葉であるが、長くて扇状に広がっている。それを見た、日本での別名は"烏扇"。大陸渡来名であろう。

(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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