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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2016.12.29 ■■■

蔬菜の3分類

278年、河南洛陽の西北角上の"金"小城に、様々な"異なる蔬菜"を育てるために"芳園"が開設された。・・・

三蔬,晉時有芳蔬園,在金之東,
有菜名壼N,類有三種:
 紫色為上蔬,味辛;
 黄色為中蔬,味甘;
 青者為下蔬,味鹹。
常以三蔬充禦菜,可以藉食。

  [卷十九 廣動植類之四 草篇]

情報を補った原典を引いておこう。・・・
三蔬
晉咸寧四年,立芳圃于金城東,多種異菜,名曰云薇。
類有三種。
紫色者最繁滋。其根爛漫。春敷夏密,秋榮冬馥。其實若珠,五色,隨時而盛。一名云芝。
其紫色者為上蔬,而味辛;
其黄色者為中蔬,而味甘;
其青色者為下蔬,而味咸。
常以此蔬充御,其葉可以藉飲食,以供宗廟祭祀。
亦止人饑渇。
宮中其莖葉者,歴月不歇。(出《拾遺録》)

  [「太平廣記」卷第四百一十一 草木六 三蔬]

蔬菜は、3つに分類されていた。余計なことを省いてポイントを指摘。
この時代から、すでに 課題を明確にして野菜の開発が行われていたことになる。
ただ、グルメの成式のことだから、最上の蔬菜についての見方は違っていたかも知れない。

"壼N"との名前がついているが、薇は/ゼンマイ/Royal fernであり、灰汁抜き処理無しでは食材にはなりそうにないので、蔬菜の対象外ではないか。
おそらく、ここでは、十字花植物ブラシカ類の栽培品種の話。現代感覚からすれば分類はこうなる。

1つ目が壼V類。
  在来種油菜, 蕪菁, 白菜[大&小], 水菜, 野沢菜, 小松菜, 青梗菜, etc.

2つ目が甘藍類。
  キャベツ, etc.

3つ目が芥菜類。
  芥子菜, 高菜, 搾菜, etc.

色についてだが、現代でも、紫水菜、紫キャベツ、紫からしな、等々が売られている位だから、素材としての分類基準にはなるまい。ただ、紫、黄、緑という序列もあったということ。

結局のところ、この分類は上記の3、2、1、と同じではないか。
上蔬とは、辛みを感じさせる芥菜。
中蔬とは、勿論、甘藍系。
下蔬とは、所謂、青菜。但し、白菜も入るが。

食卓のメニューには、この3種が登場したとされるが、その感覚は色より、味だろう。

(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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