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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.1.5 ■■■

這紐苔

わからない植物の話は少なくないが、想像を働かせれば、なんとかわからないこともない。・・・

仙人條,出衡嶽。
無根蒂,生石上,状如同心帶,三股,色香C亦不常有。

  [卷十九 廣動植類之四 草篇]

根蒂とは、茎の両端という意味だろう。根も蔕も無いが、菌(芝や茸)系ではないところを見ると苔か。
苔は人気があるが、栽培用は限られた種類だろうし、眺める対象も多くは林床。岩に生える苔は注目を浴びることはなさそう。
そうなると、探すのは難しそう。

扁平タイプは光葉擬平蘚/リボン苔があるが、"同心帶"なら、這紐苔[ハイヒモゴケ]かも。

垂れ下がっているのにこだわったのは、"仙人絛"という名前がでてくる南岳衡山に関係する文献があったから。・・・

【天堂峯】
東有石室。殷景童禮斗石定志龕自種柴葫勝於出處。
又草衣和尚曰定名。
後遷妙高峯。結草為衣因而呼之。其草莖兩兩相纏。如絛有垂頭。名曰羅漢絛。
自天堂潛聖巖竇中多生。昔傅待仙嘗採之以結朱汞作丹頭。
因曰
仙人絛。故丹房録中詩一聯云。巖前收麹。火内伏丹砂是也。
其草自巖而垂。亦曰垂巖草。
昔人詠羅漢絛詩云。
  五百移棲絶洞深。空留轍迹杳難尋。
  阪N絛帶何人施。長到春來挂滿林。

  [「南嶽總勝集」五峯靈跡]

草衣和尚の名前も登場していることでわかるように、仏教系の書である。

問題は、こうたてられる。・・・
何故に、そのような書で引用されている植物に注目したのだろうか、と。

小生は、道教的な不老不死仙薬思想から、仏教的な木食草衣思想への転換が始まっていうことを指摘したかったのではないかと思う。
曹洞宗開祖 洞山良价[807-869年]は成式の時代の人だからだ。木食草衣はその法嗣、龍牙居遁[835-923年]の句である。・・・
 「龍牙居遁之偈」  @星雲法師:「千江映月 星雲説偈」
 朝看花開滿樹紅,暮看花落樹還空;
 若將花比人間事,花與人間事一同。
  :
 木食草衣心似月,一生無念復無涯;
 時人若問居何處,緑水青山是我家。


【参考:禅宗の代表的僧侶】
洞山良价
├龍牙居遁
├雲居道膺―・・・―道元
└曹山本寂
馬祖道一
├南泉普願―趙州従[778-897年]
└百丈懐海
├黄檗希運[n.a.-850年]―臨済義玄
山靈祐

(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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