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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.1.14 ■■■

麝香猫

麝猫/麝香猫/Small (& Larage) Indian civetは、肛門附近に臭腺を持っている。

名前だけで、姿を見たことはないが、その同類はご存知の方がおおかろう。東京の住宅地にも住んでいる可能性ありとされる、果子狸/白鼻芯[ハクビシン]/Masked Palm Civet
   「雑食野獣揃い踏み」[2014.10.25]
「酉陽雑俎」では、香貍というわかりやすい名称で紹介している。・・・

香貍,取其水道連,以酒澆乾之,其氣如真麝。
  [卷十六 廣動植之一 毛篇]

小型の方の別名は、
 狸系だと、七間、鳥脚。
 猫系は、箭、筆、靈。

腺に溜まっている脂をアルコール消毒してから乾燥させると、麝香並みの香料になる訳だ。
ただ、麝香とは違って、糞臭があるそうだ。そうなると、官能的香りを薫らすには、それなりの技術が必要だったと思われる。面倒なことではあるが、そのような香料としては他には竜涎香しかなく、どちらも、とても入手できる代物ではないから、麝香代替品の地位を確保できたのであろう。
西域的な雰囲気も醸し出すこともできるから、妓達には大人気だったかも。
それを考えると、霊猫香とは、商売上手な命名といえよう。

素人的だが、唐代の香りの全体観は、こんなところか。

  幽香・・・白檀
  高貴香・・・沈水系、伽羅
  甘香・・・安息系、桂皮
  華涼香・・・菊系、香草
  防虫香・・・楠、松・杉、檜
  官能香・・・麝、霊猫、竜涎
  練香材・・・巻貝蓋


(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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