表紙 目次 | ■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.1.29 ■■■ アルビニズム目が赤く、瞳が黒くない僧侶に会った話が収載されている。他の僧侶の話と同じように、厄除け祈祷を行うが、鶏を使うというのが独特。 しかし、それ以上は語っていないので、成式自身がどう評価していたのかはわからない。 段家の奴婢は、そのような厄病呪術を嫌っていたようだが、無理矢理受けさせられたようだ。・・・ 蜀有費雞師,目赤無K睛,本濮人也。 成式長慶初見之,已年七十余。 或為人解災,必用一雞設祭於庭,又取江石如雞卵,令疾者握之,乃踏歩作氣虚叱,雞旋轉而死,石亦四破。 成式舊家人永安,初不信,嘗謂曰: “爾有厄。” 因丸符逼令吞之。 復去其左足鞋及襪,符展在足心矣。 又謂奴滄海曰: “爾將病。” 令袒而負戸,以筆再三畫於戸外,大言曰: “過!過!” 墨遂透背焉。 [卷五 怪術] 話の終わり方を見ると、この僧侶も、他の術ができる僧侶と特段の違いはないと見ているようだ。 と言うか、赤目だろうが、なんだろうが、そんな外見はどうでもよかろうと考えているのだと思う。 要するに、赤目を特別なヒトとは見なしていないということ。動植物の観察力を磨いていたのだから、当然の帰結であろう。それを、わざわざ口外しないだけのこと。 遺伝子欠損のために、先天的にメラニン色素生成ができなくなっていると、眼皮膚白皮症[白化症/アルビノ]になると言われている。虹彩にも色素がないため赤色になる。・・・これが現代の見方。 発生確率は調べていないが、白皮症はかなりの数にのぼっているから、赤目の人も少なくないと思われる。 中華帝国では、古代から、白化動物は祥物とされている。そんな記述は五万と存在する筈だ。しかしながら、それを捕獲してどのような扱いをしたのかは定かではない。 ヒトの場合は情報を欠くが、生まれながらの呪術者と見なされた可能性が高いが、大陸の史書に全く記述が無いところを見ると、差別対象として迫害されたと考えるのが自然である。(出典はわからぬが、「羊白頭」の記載はあるらしい。日本の場合は、雄略天皇が霊異を感じ、第三皇子の白髪皇子/清寧天皇を皇太子としている、) ちなみに、最初の「国際アルビニズム啓発デー」@UNは2015年6月13日だった。アルビノ狩りが未だに続いているのである。 (参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載. 「酉陽雑俎」の面白さの目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2017 RandDManagement.com |