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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.2.17 ■■■

道教教団による神格化

道教教団とは政治勢力そのものであることを如実に示す例が収載されている。・・・

為東明公,
文王為西明公,
邵公為南明公,
為北明公,
四時主四方鬼。
至忠至孝之人,命終皆為地下主者,一百四十年乃授下仙之教,授以大道。
有上聖之コ,命終受三官書,為地下主者,一千年乃轉三官之五帝,復一千四百年方得遊行太清,為九宮之中仙。
又有為善爽鬼者,三官清鬼者,或先世有功,在三官流。逮後嗣易世練化,改世更生。此七世陰コ,根葉相及也。命終當道遺一骨,以歸三官,余骨隨身而遷。男左女右,皆受書為地下主者,二百八十年,乃得進處地仙之道矣。

  [卷二 玉格]

道教教団は、古代と言うか、周王朝に連なる人物を四明公として神格化したのである。
 【夏后・・・夏朝第2代帝。創始者[氏を夏后と定めた。]は禹。
 【姫昌文王】・・・殷の三公で、周朝始祖。次子の武王が周王朝樹立。
 【邵公・・・周建国の元勲[王族]で、燕[]の始祖。姓。
 【・・・呉国第19代君主壽夢の少子。

これは、六朝時代の茅山道教の教義書である、陶弘景:「真誥」卷十五 闡幽微第一からの引用であり、この4名は仙階に昇るとされている。・・・
炎慶甲者,古之炎帝也。今為北太帝君,天下鬼神之主也。
武王發今為鬼官北斗君。
---[略」---北明公。
四明公復有賓友四人,然此四公後並當昇仙階也。
四明主領四方鬼。


陶弘景が、仙人からの伝聞の形で皆に伝えるという形式で、天になり代わり任命した訳である。
宗派教義であるから誰も文句のつけようがないし、政治権力と一体化しているから、そのまま受け入れる以外に手はないということ。実によくできた仕組みである。

現世のこうした仕組みは、あの世でも通用するという考え方が中華帝国の基層文化であり、それにピッタリ合つということでもある。
寿命が尽きると、至忠至孝であるかの評価によって、あの世での官位が決まるのだ。
そこでは、娑婆の官僚組織以上に精緻な位階が決められており、官吏が文書で管理する世界。そんな世界の上位に仙階が存在しているに過ぎない。当然ながら、そこは道士の指導者が取り仕切る場所。
中華帝国の文化とはかようなもの。その精神は、現代まで、脈々と受け継がれている訳だ。

(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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