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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.2.24 ■■■

四言両句釈詩[6:象尾留家]

今村注記を欠く箇所が続く。・・・

   尾既出
   身可取興
(約上人)  [續集卷五 寺塔記上]

後代の翻訳仏典らしいが、内容的にはピッタリの文章がある。(学者だと、理由なく後代から参照する訳にはいかんだろうが、素人は自由自在。)
おそらく、他の経典にも同様な文章が収録されていただろうと、なんの証拠もなく、そう見なす訳である。・・・
時彼哀愍王,忽於一夜得十種夢:
一者夢見
有一大象從出、
身雖得出、尾爲窓礙。
  [宋 施護譯:「佛説給孤長者女得度因縁經」卷下]

それにしても、夢とはいえ、呆れた話である。

巨大な象が家から脱出したのに、尾のお蔭で出られないというのだから。
尾は窓から出せるが、巨大な身体なので家から出られぬというならわかるが。

そんなこともあって、不可思議な両句になっているのではなかろうか。

ともあれ、なかなか含蓄のあるお話である。
と言うのは、これは釈尊涅槃後のことだからだ。
釈尊あっての仏教だったのである。

出家する人もいるが、家を離れることができているのかは、はなはだ疑問なのが現実の仏教教団である。
と言うより、家の繁栄のために僧侶を利用するというのが現実であり、それをして三宝を敬う大きな一歩としていたりする訳で。
それは釈尊の教えとは正反対なのはあきらかであるにもかかわらず。

と言って、真っ正直に、厳格な方向に進むなど無理筋であることも自明である。
それを突き抜けるべき、新思想の潮流がココにある。
成式サロンの時代感覚は鋭い。流石。

(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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