表紙 目次 | ■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.2.28 ■■■ 四言両句釈詩[10:殺人象と殺妖龍象]4文字だから、誰だって直訳はできるが、好き勝手なものになってしまう。そこで、何が言いたいのか、考えることになるが、そうするとかえってわからなくなる句なのである。・・・ 一醉難調, 六對曾勝(日高上人)。 [續集卷五 寺塔記上] 実に単純な内容である。 一度酔っぱらってしまえば、 調教は困難を極める。 6回対戦した。 その結果は、勝利だった。 参考になりそうな仏典はあることはある。・・・ 象若醉時。能多殺人。 若殺多人。我則得勝為令象鬥。與酒令飲。是業報故。 墮於惡處叫喚地獄雨炎火石別異處生。受大苦惱。所謂苦者。罪業力故。彼地獄中。有大象生身皆炎燃。一切身分。皆能打觸。取彼人已。觸破彼人一切身分。破碎墮落。與大怖畏。彼人如是唱聲大喚。身分散盡。若得脱已。而復更為閻魔羅人執之。置鑊在於熱沸赤銅汁中。如是無量百千年歲常燒常煮。身體爛壞。乃至惡業未壞未爛。業氣未盡。于一切時與苦不止。若惡業盡。彼地獄處爾乃得脱。若於前世過去久遠有善業熟。不生餓鬼畜生之道。若生人中同業之處。彼人則生殺象之家。為象所殺。常困貧窮。面色不好。手足堅澀。身常澀觸。是彼惡業餘殘果報。 [「正法念處經卷第八 地獄品之四」] 流石の象も酔えば、殺人まで犯す訳で。 さすれば、地獄行である。 6回対戦はなんとも言い難いが、思うに、大乗の菩薩行としての六度[六波羅蜜: 布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧]話なのだろう。 そんな観点で考えれば、象と獅子の妖龍退治譚を示唆していると見ることもできよう。・・・ 昔者,菩薩伯叔齊志,---毎聞諸國,闇於三尊,輒往導化,令奉六度、正真妙行。--- : 伯曰: 「彼國信妖,妖龍處之,吞其黎庶,哀號無救,---」 叔曰: 「佛戒以殺,為凶虐之大;活生,仁道之首也!將如彼何?」 伯曰: 「---吾心愍然!人道難獲、佛法難聞,除龍濟國,導以三尊、六度高行,禍若絲髮,福踰二儀。爾化為象、吾為獅子,二命不殞,斯國不濟也!」 稽首十方,誓曰: 「衆生不寧,余之咎矣!吾後得佛,當度一切。」 象造龍所、獅子登之。龍即奮勢,霆耀雷震。獅子踊吼、龍之威靈。獅子赫勢,普地為震 三命絶矣! : 殯葬二屍,舉國哀慟。 王即命曰: 「有不奉佛 六度、十善,而事妖鬼者,罪與螣同!」 [康僧会 訳:「六度集経」第六十九節 殺龍済一國経] 命を棄てて、民の要請に応えた訳で、最高の布施ということになろう。 (参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載. 「酉陽雑俎」の面白さの目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2017 RandDManagement.com |