表紙 目次 | ■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.3.15 ■■■ 唐代の代表的鬼詩「全唐詩」卷八百六十五に収録されている、七言絶句の鬼詩を味わおうということで。・・・於襄陽頔在鎮時,選人劉某入京, 逢一舉人,年二十許, 言語明晤,同行數裏,意甚相得。 因藉草,劉有酒,傾數杯。 日暮,舉人指支逕曰: “某弊止從此數裏,能左顧乎?” 劉辭以程期,舉人因賦詩: “流水涓涓芹努芽,織烏雙飛客還家。 荒村無人作寒食,殯宮空對棠梨花。” 至明旦,劉歸襄州。 尋訪舉人,殯宮存焉。 [卷十三冥跡] 襄陽刺史に就任[798年]した于頔が鎮に居た頃の話。 (湖北襄陽は軍事的要衝の地。) 候選の官吏である劉が業務で入京した。 騎馬で野中を走行中、たまたま、その路上で、 書生風情の一人の舉人[=進士科受験者]に出会った。 年のころ20前後。 ついつい話が弾んた。 センスが良い上に、見識もなかなかのもの。 数里同行することになった。そして、意気投合。 つれづれの縁で、路傍の枯草に腰を下ろして一休み。 酒を持っていたので、杯を次々と傾けることに。 と言うことで、あっという間に日が暮れてしまった。 舉人は前方の細い分かれ道を指し、 「某の住まいは地方でして、 この先、数里いったところで泊まることになりますが、 貴兄も如何ですか?」と。 劉は、公務でもあり、それをお断りし、ほどなくお別れとなった。 舉人は、それは残念ということで、詩を贈った。 営々たる細き流れのなかで、 芹はそれに耐えて芽ぶき始めている。 太陽を運んでいる2羽の烏が飛び去り、 客人は家へと帰って行く。 村は荒れ果てて無人であり、 冷たい食事で我慢するしかない。 殯の宮さえ空しく、 墓の木の棠梨/北支豆山梨が生えているだけ。 その翌日の明け方に、劉は襄州に帰り着いた。 そして、舉人の住むところを訪ねて行った。 ところが、そこには、殯の宮があるだけだった。 「全唐詩」卷八百六十五にはもう一つ鬼詩が収載されている。・・・ 枝江縣令張汀子名省躬,汀亡,因住枝江。 有張垂者,舉秀才下第,客於蜀,與省躬素未相識。 太和八年,省躬晝寢, 忽夢一人自言姓張名垂,因與之接,歡狎彌日。 將去,留贈詩一首曰: 戚戚複戚戚,秋堂百年色。 而我獨茫茫,荒郊遇寒食。 驚覺,遽録其詩。數日卒。 [續集卷二 支諾皋中] 白楽天の"戚戚複戚戚,送君遠行役。"とは違うのである。 (参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載. 「酉陽雑俎」の面白さの目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2017 RandDManagement.com |