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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.4.4 ■■■

冶金技術

銅の雄雌話は異に思うのが普通だが、産業技術的には意味がありそうなこと。
成式がわざわざ取り上げているのは、興味を覚えて冶金作業場を見たことがあるからかも。・・・

煉銅時,與一童女,以水灌銅,銅當自分為兩段。
有凸起者牡銅也,凹陷者牝銅也。

  [卷十一 廣知]

青銅は少なくとも4,000年前には使われていたようで、極めて古い技術。唐代は冶金施設の数が3桁に近かった可能性もあり、職人は数千人に及んでいたと思われる。
従って、洗練された、多種多様な工芸品がつくられた。

銅の話になっているので、わかりにくいが、鉄で言えばこれは技術的な話。
要するに、錬と銑の特性違いを認識していたということ。(モルホルジー的な違い.)両者を混合するのが本来的には練である。
その不均質な無垢材の表面を鍛で強化すれば刃が生まれることになる。
日本刃は不均質材ではなく、内側"軟"、外側"硬"の複合材構造化を実現しており、生産性はえらく悪い。しかし、強靭な構造にする一番安直な方法は張り合わせであるから、ただただ鍛技術の深化が追及されたのであろう。日本刀技術が特殊という訳ではない。
例えば、斧のような鈍重な道具であれば、厚みを持たせた不均質材の表面だけを薄く"硬"にすれば十分である。騎馬戦が基本だとすれば、慣性力が加味されるから、切れ味担保の薄さより、打撃力を強める重量重視となろう。日本刃的な特徴は意味が薄い訳で、大陸でそのような技術が発展しないのは当たり前。

要するに、唐代では、以下の技術が完全に確立されていたと解釈できよう。
 膽水煉銅技術
 合鑄
[合金]技術
 鑄造
[模型鋳型]技術
 冷灌
[製鋼]技術

尚、出典はコレ。・・・
---,令童男童女進火,取牡銅以為雄劍, 取牝銅以為雌劍---。
欲知銅之牝牡,當令童男童女以水灌銅,
灌銅,當以在火中向赤時也,則銅自分為兩段,---

  [「抱樸子」内篇卷十七登渉]

(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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