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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.6.8 ■■■

ドライチェリー

「卷七 酒食」の最後は内輪話の収録かも。・・・

道流陳景思説,
敕使齊日升養櫻桃,至五月中,皮皺如鴻柿不落,
其味數倍。
人不測其法。


監軍陳景思は、“独眼竜”李克用の部下である猛将 史敬思等と共に、884年に節度使朱全忠の盛宴で殺されたと伝わる。
段成式[803-863年]とは、グルメの縁で知己だったのであろうか。
 「このドライチェリーは
  知り合いの敕使の齊日升からの貰いモノ。
  格段に美味しいので
  是非にも味見をと思い、・・・」
 ということで、段家に持参してきたのかも。
(現代日本の状況:お店に並ぶ中国産櫻桃干は砂糖煮や熏硫品しか見かけない。米国産は無添加。)
実際、味は格段だったのであろう。
 「素晴らしいじゃないか。」
 「そうなんですヨ。
  なんと、自分で栽培しているのだとか。
  それが、五月なっても木についたまま。
  すると、鴻柿のように皮に皺ができて、
  落ちることはなかった、と。」
 「ソリャ秘法かネ。」
 「きいたことのない道術ですナ。」
 と話が弾み、一献というところ。
(尚、"鴻柿"とは聞き慣れない用語だが、白露ならぬ寒露柿子を"鴻鴈[=大小の雁]来賓"に当てたのではないか。この頃に、最高の風干柿子ができるということで。)

人々は、この櫻桃干の方法がわからなかったとされるが、さほど難しいことではないかも。
実が堅い系統のサクランボなら、実に軸さえついているなら、洗いさえしなければ、ゆうに一月は傷むことなく保存できるからだ。鳥除けと、実が落ちない工夫さえすれば、屋外での風乾もありえそう。

(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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