表紙 目次 | ■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.7.26 ■■■ 大笑茸伝説か小生は、黄色の茸の話ととったが、なんとも。・・・獨孤叔牙,常令家人汲水, 重不可轉,數人助出之,乃人也。 戴席帽,攀欄大笑,卻墜井中。 汲者攬得席帽,掛於庭樹。 毎雨,所溜雨處輒生黄菌。 [卷十五 諾皋記下] 独孤叔牙は家人に何時も水を汲むように命じていた。 (井戸水汲みは、大変な労働で、家奴は嫌いだった。) ある時、 水を汲もうとしても余りに重過ぎて、 とてもではないが、 桶を引き上げようとしても滑車が回転しなかった。 そこで数人が助けに出て来た。 どうやら上がったのだが、 そこには、なんと人が載っていた。 席帽を被っており、 井戸の欄干をつかんで大笑い。 びっくりした人々は手を放したので、 その人はたちまちにして井戸中に墜ちてしまった。 汲み上げた人々に残されたものは、その席帽だけ。 それを庭の樹木に掛けておくことにした。 雨が降るたび、いつも、 席帽の雨水が溜まる箇所に黄色の茸が生えてきた。 [語注:席帽] 西域出自の帷帽のこと。唐代、婦女に流行した。 高頂寛裙の笠型。 周囲に1層の紗帛が垂れ下がる。[呉蔚:「大唐游侠」] [人物注:獨孤叔牙] 孤児とは思えないから、獨孤は姓なのだろう。そうだとすれば、比較的珍しく、鮮卑八大貴族の1つに当たる。 叔牙は自殺した魯國公の子[:n.a.-B.C.662年]が該当するが、その人を指すとは限らない。 全世界に広く自生する大笑茸は樹上で育ち、たいていの写真で見ると褐色系だが、生えたては淡黄色。食べても死なない程度の毒のようだが、数分で幻覚症状と顔面神経麻痺が発生し、狂騒と顔引きつり状態(笑い顔)に陥るという。 (参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載. 「酉陽雑俎」の面白さの目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2017 RandDManagement.com |